今回の料理は鰹のレアカツ タイソースです。水産庁の「世界の魚種別漁獲量」を見ると1位はニシン・イワシ類、2位はタラ類で3位がマグロ・カツオ・カジキ類、4位がイカ・タコ類です。1990年代以降ニシン・イワシ類やタラ類は逓減傾向であるのに対してマグロ・カツオ・カジキ類は、僅かながら増加傾向です。ただ、その伸びを支えているのはカツオです。クロマグロなどの水揚げが低迷する中、マグロ・カツオ・カジキ類の6割を占めるカツオが順調に漁獲を伸ばしているからです。水産庁・国立研究開発法人 水産研究・教育機構によると、日本のマグロ・カツオ・カジキ類の漁獲量は2015年には39.0万トンで、インドネシア(57.4万トン)に次ぐ世界第2位となっています。しかし世界の漁獲高が伸びているのに対して、日本は1984年をピークとして減少しています。また、カツオだけの漁獲量になると日本は22万トンで第5位に落ちてしまいます。日本はマグロに偏った漁獲をしている事の表れだと思われます。日本人は沢山魚を食べる国民ですが、世界には、もっと魚を食べる国があります。FAO Statistics Division 2012によると、日本人は1日あたり155gで世界6位ですが、1位はモルディブで、日本の2倍以上の381gだそうです。そしてモルディブでは、特にカツオをよく食べるそうです。カツオはスズキ目・サバ科に属する魚で大型のものは全長1m、重さは、何と20kgにもなります。春は初鰹、秋は戻り鰹と尊ばれ、市場では年中見かける魚です。今回はその鰹をタイ料理のレアカツ タイソースでいただきます。鰹の柵にナンプラーを降りかけ、しばらく置きます。その柵に小麦粉、溶き卵、パン粉をつけて、揚げます。油はフライパンに深さ1cmくらいで大丈夫です。キツネ色になるように転がしながら揚げます。写真をご覧ください、中がレアで美しい出来上がりです。この鰹のレアカツ タイソースにテイスティングメンバーが選んだイチオシは、白ワインのシャトー ド ラスコー ガリッグでした。赤ワインがイチオシに選ばれるであろうという事前予想とは異なる結果だったのです。シャトー ド ラスコー ガリッグのA.O.C.はラングドックで、ラングドック地方とルーション地方とを統一して11年前に出来たばかりの地方名A.O.C.です。シャトー ド ラスコーのワイナリーはラングドックで最も優れた畑のひとつと言われるピク サン ルーから東へ僅か数kmのところにあります。夏の気温は高く、40℃になる事も珍しくありません。海岸からは20km内陸になりますので、夜は沿岸部より5、6℃も気温が低くなります。ワイナリーは300haもの低潅木林=ガリッグに取り囲まれています。ガリッグはこの地方の代表的な風景でタイムやローズマリー、オリーブ、松やオークが低くこんもりと茂っています。シャトー ド ラスコーは歴史のある家系で、始まりは16世紀にまで遡ります。現在のワイナリーのオーナー兼醸造責任者である、ジャン ブノワ キャヴァリエ氏が14代目にあたるのです。ラスコーのワインづくりは、化学肥料・除草剤を使用しない有機栽培です。2006年から有機栽培に転換、2009年に有機認証を取得しています。そして近隣の農家とともに、羊や牛を放牧し雑草を食べさせ、その堆肥を肥料として活用する循環型農法に取り組んでいます。発酵温度は低くなりすぎない18℃に設定し、あえて樽熟はしません。グラスに注ぐと、甘く熟した果実の香りが豊かです。アプリコットなどの熟した黄色い果物の印象です。アタックはふくらみがあります。完熟による甘やかさと、柔らかみのある酸とのバランスが取れたワインです。ボディはミディアムから、ちょっとフルボディに寄った位で、リッチで自然な果実の充実感が楽しめるワインです。
鰹のレアカツと合わせると、パン粉のカリカリとした香ばしさとシャトー ド ラスコー ガリッグの程よいボリューム感とが良く合っています。
「赤ワインとも美味しいんですが、シャトー ド ラスコー ガリッグの白との方が、より美味しく感じます。白ワインと相性の良い鰹料理なんですかね?」
「カリカリの衣の部分は、特に白と美味しいですよね」
「身の部分の旨みが素直に引き出されます」
鰹は身の味わいに、独特の酸味がありますが、その酸味とシャトー ド ラスコー ガリッグが見事に調和していました。
「にんにくがアクセントになって、鰹の味わいが更にふくらみますね」
皆様も鰹の柵を見かけられましたら、この鰹のレアカツ タイソースに挑戦してみてください。そしてシャトー ド ラスコー ガリッグ 白と合わせてみてください。