今回の料理はタイ料理のパッタイです。パッタイを直訳すると「パッ=炒める」「タイ=タイ国」なので「タイ国炒め」です。まさにタイを代表する料理だと言えます。パッタイの起源はちょっと変わっています。第二次世界大戦の頃、タイは深刻な米不足に陥りました。当時のフィールド・マーシャル・プラク・ピブソン・グラム首相は、米をそのまま食べる「ご飯」よりも、くず米や副原料も使える「米の麺」にしたほうが米の消費量を抑える事が出来る、と思いつきました。そして米の麺の消費を促進する為に、米の麺の国民食コンテストを開催しました。そのコンテストでパッタイの原型が優勝作品となったのでした。そして1945年には、パッタイがタイを代表する国民食である!と宣言されたと言われています。事実、パッタイはCNNが2011に発表したYour pick: World's 50 best foodsの堂々の第5位にも選ばれている、世界中から愛されるタイ料理なのです。パッタイの主素材は米の麺であるクイテェオです。クイテェオには極細のセンミー、中細のセンレック、極太のセンヤイの三種類あり今回はセンレックを使いました。副素材は海老、たくあん、ニラ、もやしといったところです。味つけは、ナンプラー、シーズニングソース、醤油、ケチャップなどです。写真をご覧ください。皆さんが良くご存知のパッタイとちょっとルックスが違いますよね。この網々玉子焼き包みをマスターしたら、あなたのパッタイのレベルがグンと上がる事、間違い無し!ですよ。
このパッタイにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはエスプリ ガシエ コート ド プロヴァンス ロゼでした。夏に、フランスのスーパーマーケットのワイン売り場に行くとロゼワインの大量陳列に度肝を抜かれます。通常売り場の1/3がロゼで、特設売り場は、ほとんど全部ピンクのロゼで埋め尽くされています。そして、そのかなりの部分がプロヴァンス ロゼなのです。ガシエ ファミリーは18世紀から続くプロヴァンスでも古い名門です。1982年にサン ヴィクトワール山の麓に40haの土地を購入し、自社畑でのワインづくりを始めました。現在は5代目にあたるジョージ・ガシエが指揮をとり、洗練された辛口ロゼワインをつくっています。自社畑のみならず、プロヴァンス ロゼのリーダーとして、7つのドメーヌとパートナーシップを結んで、ネゴシアンとして、世界中にプロヴァンス ロゼを紹介しています。ぶどう品種は白ではユニ・ブランやロール、赤ではシラー、グルナッシュ、サンソーやカベルネ・ソーヴィニヨンです。ロールは、イタリア中南部で多く栽培されているヴェルメンティーノの、プロヴァンスやコルスでの別名です。
グラスに注ぐと淡いピンク、ローズクォーツをほんの少し濃くした感じです。香りは素直な赤いベリーの印象で、口に含むと辛口でフルーティーさが広がります。パッタイと合わせると、すっと馴染む感じです。
「ロゼが食べ物と合う時って、こんな感じなんですよね。パーツパーツのどこかの部分とぎゅっと手を結ぶのではなく、全体として調和が取れているんですよ」
「ドライなロゼがパッタイの味わいを活かしています」
「パッタイの麺そのものの味わいが、良く判る気がします」
「ナンプラーやシーズニングソースなどの様々な香りをロゼが包み込んでくれています」
パッタイを包む玉子焼きの鮮やかな黄色や海老の大赦色とプロヴァンス ロゼの美しい色がとても良くマッチしている、夏に楽しいマリアージュでした。