今回の料理はガイ リアン トーン(金貨揚げ)です。ガイは鶏、トーンは金、お金ではなく純金の金です。リアンがお金ですので、ガイ リアン トーンは鶏を金貨のようにした料理という意味です。もともとはタイ東北部のイーサーン地方の料理だそうで、おめでたい料理としてお祝いの席などで良く出されるようです。丸い生地でタネを挟みこんで揚げた料理なのですが、日本で購入できる生地では、餃子の皮より、春巻きの皮のぱりぱり感が、オリジナルのガイ リアン トーンに近いそうです。丸い形で販売されている春巻きの皮はありませんので、型紙を当てて、春巻きの皮を丸く切り抜いていきます。面倒くさい作業に思われるかもしれませんが、後工程で、餃子のようには包む必要がありませんので、そんなに手間ではありません。中に挟み込むタネは鶏のひき肉、副素材として干し椎茸を戻したものを使いました。フライパンに深さ1cmくらい油をいれて、キツネ色になるまで揚げていきます。
このガイ リアン トーン(金貨揚げ)にテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはラ マンチャ デ ビエント 赤でした。ラ マンチャ デ ビエントは、今年の春、新発売したばかりのスペインワインです。スペインワインは日本における輸入ワインの国別ランキング第4位(※1)で、チリ、フランス、イタリアに次ぐ重要なポジションを占めています。ワイン名称のラ マンチャ デ ビエントの「ラ マンチャ」はスペイン中央部に位置する歴史的地方の名前です。デ ビエントは風、なので「ラ マンチャの風」といった名前です。ラベルには大きな風車が描かれています。スペインで風車といえば、ミゲル・デ・セルバンテスの小説「ドン キホーテ」を思い出しますよね。ラ マンチャを舞台に、騎士道を極める為に、老馬ロシナンテに乗ってサンチョ・パンサを従者として冒険の旅に出かける物語です。物語の中でも、ドン キホーテが風車に向かって突撃し、あえなく跳ね返されるシーンは有名です。ラベルを眺めていると、その場面が彷彿されます。格付けとしてはIGP ヴィノ デ ラ ティエラ デ カスティーリャのワインです。赤はモナストレルにシラーをブレンドしました。モナストレルは、フランスではムールヴェードルと呼ばれる品種ですが、スペイン原産です。正確な場所は、まだ特定されていないのですが、カタルーニャ地方ではないか?と言われています。小粒で糖度が上がる能力がある、そして果皮の分厚い品種なので、色が濃く、厚みがあって、熟成する力のあるワインになります。グラスに注ぐと色は、深みのあるルビー色です。グラスに鼻を近づけると、赤系ベリー、特にラズベリーを思わせる香りが豊かで、少しスパイシーさもあります。口に含むと優しい舌触りとみずみずしい果実味があります。ミディアムボディでタンニンのキメ細かさが感じられる、バランスのよい味わいのワインです。
金貨揚げと合わせると鶏のミンチの繊細な味わいとラ マンチャ デ ビエントの果実味とが良く合います。特にタネのスパイシーさが際立つ感じがしました。
「白こしょうが、ぐっと前面にでてきます」
「にんにくとかスパイスの刺激感が強まりますね」
「干し椎茸のニュアンスも強く引き出される感じです。旨味が強調される事で金貨揚げが、より複雑な味わいに感じられます」
ワインサイドも、黒オリーブを思わせる風味が顔を出して、ワンランク上の味わいが楽しめました。皆様も是非、ぱりぱりとした食感が楽しい、このガイ リアン トーン(金貨揚げ)を作ってみて下さい。揚げてから時間が経っても、皮にタネが接している面積が狭いのでぱりぱり感が続いて美味しいですよ。そしてラ マンチャ デ ビエント 赤と合わせてみて下さい。
※1:インテージ拡大推計値