今回の料理は、しめサバ 菊花と大根の柚子こしょう風味の甘酢あえです。サバはスズキ目 サバ科の魚の総称です。本州ではマサバとゴマサバが主で、沖縄周辺ではグルクマーやクサラーと呼ばれるニジョウサバもサバ科の仲間です。また大西洋では大西洋サバも多く獲られています。2015年度世界のサバ類の漁獲ランキングでは、世界一は58万トンの日本、次いで中国、インドネシアと続き、4位5位が大西洋サバ中心のイギリス、ノルウェーです。サバは日本国内における魚種別の漁獲量でNo.1∗の魚で、ここ5年間は連続の首位です。2位はマイワシ、そのあとはホタテガイ、カツオと続きます。サバも年による変動が大きく、1990年から1992年の3年間は30万トンを大きく割り込む不漁でした。ここ数年間は50万トン前後と豊漁で、今年も水産研究・教育機構の予測では9月から12月にかけても順調な漁が続く見込みです。ただ、エリアによっては不漁のエリアもあるようで、先日も富山名物の「鯖の熟れ鮨し(なれずし)」を製造していた製造組合が、不漁による原価高騰を理由に今年の仕込みを断念するというニュースが流れていました。今日はそのサバをしめサバにします。付け合せは菊花と大根の柚子こしょう風味の甘酢あえです。ワインと相性の悪いとされる食材はいろいろありますが、穀物酢は、その筆頭にも挙げられる食品です。また、青魚も、ある方は「白ワインのほうが合わせ易い」と仰ったり、またある方は「いやいや、絶対赤ワインの方が、ましだ」と意見の分かれる難物です。
このしめサバ 菊花と大根の柚子こしょう風味の甘酢あえにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、サントリージャパンプレミアム 甲州でした。甲州は日本に古くから伝わるぶどう品種です。その起源には二説あります。ひとつは大善寺説です。高僧行基が718年に甲斐の国を訪れたときに、日川の渓谷の大石の上で修行しました。その満願の日に夢の中に、ぶどうを手に持った薬師如来が現れました。行基は夢の中に現れたお姿と同じ薬師如来像を刻み、それをご本尊に柏尾山大善寺を建立した、というものです。実際、大善寺に行くとぶどうを持った薬師如来が安置してあります。しかし、行基の研究家によると行基が山梨県を訪れた歴史的な事実は確認出来ないとの事です。もうひとつは雨宮勘解由説です。1186年に山梨県勝沼の雨宮勘解由が山ぶどうとは異なる蔓を見つけ持ち帰り、栽培したものという説です。いずれにしても、日本で1000年近い歴史のあるぶどうという訳です。甲州は白ぶどうですが、完熟するとピンク色になるグリ系品種です。登美の丘でも10月末くらいまで完熟するのを待った甲州はピンク色と紫色のちょうど間くらいの、まるで夢の様な色合いになります。グリ系品種には、甲州の他にピノ・グリやソーヴィニヨン・グリ、グルナッシュ・グリなどがあります。サントリージャパンプレミアム 甲州は「甲州」の個性をいかすため、果汁を凍結し味わいを凝縮したワインと、シュールリーで仕上げたワインとを絶妙なバランスでブレンドしました。和柑橘を感じる上品な香りと、穏やかな酸味と旨みを感じるしっとりした味わいが特長の白ワインです。
しめサバ 菊花と大根の柚子こしょう風味の甘酢あえと合わせると、サバの風味が素直に感じられます。
「美味しい!しめサバとワインで、こんなに美味しく感じたのは初めてです!」
「全く生臭くありません」
「ワインと魚を合わせた時に感じる生臭さのメカニズムは少し解明されていて、ワインに含まれる鉄が生臭さを引き起こすようです。甲州は分析値として鉄の含有量が極めて少ない事が明らかになっています」
甲州の酸が柔らかで穏やかな所も、しめサバや酢の物との相性を高めている感じがしました。
「菊花と大根の柚子こしょうの風味も甲州の和柑橘を思わせるニュアンスと良くマッチしています」
サバの美味しい季節です。是非しめサバとサントリージャパンプレミアム 甲州の絶妙なマリアージュをお楽しみください。
∗農林水産省 平成28年漁業・養殖業生産統計