今回の料理はきのこソテーと紫キャベツのマリネのホットサンドです。ホットサンドは温製のサンドイッチです。サンドイッチの語源については、聞いた記憶がある方も多いと思います。イギリスのカードゲーム好きの貴族、サンドウィッチ伯爵の名前から来ている、という説が広く信じられていました。しかし、なんと、サンドウィッチ伯爵の研究家によると、サンドウィッチ伯爵がサンドイッチを発明したり、カードゲーム中にサンドイッチを食べ続けていた事実は確認できないそうです。ただ、いずれにしても18世紀後半のイギリスではサンドイッチが大流行していたのは事実のようです。サンドイッチはバリエーション豊富な食べ物です。挟む具材は、それこそ星の数ほどあります。ハムサンド、チーズサンド、タマゴサンド、レタスサンド・・・・・・・
形状もいろいろです。食パンを対角線で切って三角形、平行に切って長方形。食パンではなくコッペパンの上を縦に切ってつくるサブマリンサンド、略してサブなどもあります。原点は「パンで挟む」なのでしょうが、オープンサンドは「挟む」というポイントを超越しています。そもそもパンではないアイスクリームのサンドイッチなどもあります。「手軽に手で食べれる」ジャンルであった所を逸脱しているのがクロックムッシューやクロックマダムです。溶けたチーズが上にのっていますから、ナイフとフォークがないと食べ難いです。ホットサンドも本来は冷たい食品であったサンドイッチの枠組みにとらわれず熱々を楽しみます。美味しいものを追求する人間の創意工夫には限りがありませんね♪
今回はきのこをソテーしたものと紫キャベツのマリネを挟みます。きのこは、しめじ、エリンギ、マッシュルーム、舞茸です。パンは6枚切りの厚めのものを使います。パンにきのこソテーと紫キャベツのマリネをたっぷりと、これでもか!とのせます。シェーブルチーズとオレンジの皮のすりおろしをのせ、フライパンにバターを溶かして焼きます。その時にフライパンよりひと回り小さい鍋のふたなどで、ギュッと押しながら焼くのがポイントです。ホットサンドメーカーが無くてもできます!!そんなに難しくありません!!!
さて、この、きのこソテーと紫キャベツのマリネのホットサンドに、テイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2017でした。もちろん、マリアージュ実験は普通のボジョレーで実施しました。間もなく、2017年のボジョレー ヌーヴォーの解禁です!わくわくしますよね!!今年はどんなヴィンテージだったのでしょうか?ジョルジュ デュブッフ社輸出部長のアドリアン デュブッフ・ラコンブからヴィンテージ情報について連絡が来ています。
「4月末からフランス各地で何度か発生した霜害は、皆様のお耳にも入っているかもしれません。幸いにもヌーヴォー用ぶどうが収穫されるボジョレーやボジョレー ヴィラージュのエリアは大きな影響はありませんでした。」
5月は「雨」と「お天気」の月でした。一週間ずっと雨が降って、数日30℃を越える晴天、そしてまた数日の雨、の繰り返しでした。でも、これらは、ぶどうの生育に欠かせない大事なサイクルなのです。
6月初旬に小さな白い花を咲かせていたガメ種のぶどうは6月15日には、可憐な「実」を付け始めました。今年は1900年からの観測史上、3番目に暑かった春でした。なかなか当たらないフランス気象局の長期予報では「今年の夏は例年より暑くなる」でした。そして、この6月はフランス全土で30-35℃を記録するほど好天が続きました。特にボジョレーでは最高気温が38℃になり枝や葉は大きく成長しました。6月の最終週は幸いにも少し雨が降りました。この雨はぶどうの実の成長を助けました。
7月10日(月)にボジョレー北部で暴風を伴う雹(ひょう)が降りました。雹は竜巻状の強風と共に降り注ぎ、葉や実を切り裂き大きなダメージとなりました。クリュ デュ ボジョレーの一部は甚大な被害を被ってしまいましたが、ヌーヴォーぶどうの供給地であるヴィラージュエリアから南部のボジョレーのエリアは、ほぼ全く被害はない状況でした。
8月も順調に太陽に恵まれ、大きく美しく成熟し続けました。8月の天気が非常に重要で、糖度が上がり、より華やかで、心躍るボジョレー ヌーヴォーになるかどうかはここで決まります。今年の出来への期待感が高まったのはこの頃です。
8月28日(月)からボジョレー地方では収穫が始まりました。デュブッフ社の自社畑も29日から収穫をはじめています。
デュブッフ氏からもコメントが届いています。
「慢性的な雨不足と6-8月の30℃以上の好天は素晴らしい果実の凝縮をもたらした一方、房も実も小さくしてしまいました。 例年に比べ収量が1/2から1/3まで減ってしまったぶどう生産者もあります。2017年はデュブッフ社の持つ「アッサンブラージュ」と「セレクション」の経験がより活かせる年になるでしょう。艶やかな深紫色を持ち、カシスやブラックカラントなどの黒い果実のイメージだけでなく可愛らしい真っ赤なイチゴのイメージも残した、丸みを帯びてシルキーな味わいに仕上げていきましょうか…」
デュブッフ氏も腕の見せ所に張り切っているようです。
きのこソテーと紫キャベツのマリネのホットサンドと合わせると、ボジョレーの果実感が際立ちました。イチゴを思わせる甘い香りと爽やかさが広がります。
「軽やか同士で、とっても美味しいですね」
「シェーブルチーズって白ワインのイメージですが、ボジョレーにも良く合いますね」
「ホットサンドとボジョレーとが共鳴しあう感じです」
「ハムを挟むと、さらにボジョレーに良く合う気がします」
もう間もなくボジョレー ヌーヴォーの解禁です。是非今年の出来を味わってください。そして、きのこソテーと紫キャベツのマリネのホットサンドでボジョパしてみてください。