今回のレシピは、フライド根菜です。根菜は野菜のなかで、土の中にある部分を食べるものの総称です。「根菜」と書きますが。根っことは限らず、レンコンやジャガイモは茎とされています。大地に埋もれていて、常に土に触れている部分ですので大地のパワーをそのまま閉じ込めて栄養たっぷりです。その根菜を薄切りにして根菜チップスというか、フライド根菜にします。今日は、ごぼう、レンコン、さつまいもを使いました。薄切りにするときにレンコン、さつまいもは包丁でやりましたが、ごぼうはピーラーのほうがきれいに薄く切れます。切った根菜は、それぞれ5分くらい水にさらしました。これはシャッキリ、パリパリに仕上げる為と、ごぼうなどは灰汁で黒くなってしまうのを防ぐためです。味の決め手はパルミジャーノのすりおろしと粉山椒、これでワインにぐっと合うようになります。
このフライド根菜にテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブランでした。ロス ヴァスコスは、ボルドー メドック 第一級格付け「シャトー ラフィット・ロートシルト」を擁するドメーヌ バロン ド ロートシルト(D.B.R.)が世界で手がける数々の銘品のひとつです。その品質の証としてドメーヌ バロン ド ロートシルトのワインには、ロートシルト家の5本の矢のロゴとキャップシールに黄色いラインがあしらわれています。色の濃さはかなり淡く、緑を含んだレモンイエローです。グレープフルーツを思わせる爽やかな香り立ち、アカシアなどの白い花の印象もあります。スワリング(ぐるぐるグラスを回してワインと空気とを触れさせる)すると香りが強くなります。ニュージーランドなどのワインとは違って、ソーヴィニヨン・ブランとしては、香りの量は控えめなタイプで、エレガントさを感じさせます。味わいはフレッシュでピュア、瑞々しい酸とミネラルの余韻が心地良いワインです。フライド根菜と合わせると、根菜それぞれの個性的な香りが、より強調されました。レンコンのちょっと土を思わせる香り。さつまいものカラメルのような甘い香りや、ほっこりとした独特の香りとちょっと発酵バターを思わせるような香り。ごぼうのちょっと青臭い香り、それらが、くっきりと明確に主張する感じです。
「根菜の香りが引き立ちます」
「ごぼうって、こんなに青々しい香りがするんですね」
「ごぼうの香りはセスキテルペンラクトン類、フェニルアセトアルデヒド、メトキシピラジン類などの合わせ技だと言われています。メトキシピラジンは皆さんもご存知の『カシスの新芽』と表現されるカベルネ・ソーヴィニヨンやソーヴィニヨン・ブランに含まれる匂い物質です」
「なるほど!それでごぼうとロス ヴァスコスが共鳴しているんですね」
「山椒の香りも、より突き抜ける感じになります」
「山椒にはサンショオールやシトロネラール、ゲラニオール、リモネンが含まれています。サンショオールは山椒の痺れる様な辛さを感じさせ、独特の香りを生み出す原動力になっています。シトロネラール、リモネンはレモンなどの柑橘系の香りを感じさせる要素で、ソーヴィニヨン・ブランとの相性が良さそうな物質です」
「ソーヴィニヨン・ブランの果物を連想させる部分も引き立てられています」
「ゲラニオールは様々な果物、リンゴ、プラム、グレープフルーツ、パイナップルなんかに含まれている物質なので、もちろんソーヴィニヨン・ブランとは相性が良いといえるでしょうね」
シンプルなフライド根菜、一見ビールのおつまみのようなレシピですが、パルミジャーノの旨みも効いていて、ワインにとっても良く合います。皆様も是非、トライしてみてください。