今回のレシピは、春キャベツと新玉ねぎの目玉焼きのせ タイ料理のサラダです。新玉ねぎについては昨年の3月掲載の新玉ねぎと新じゃが 生ハムのサラダで詳しく書きましたので今回はキャベツについてちょっとお話いたします。キャベツはアブラナ科アブラナ属の多年草です。漢字で書くと甘藍、漢字クイズにも出題される難読文字です。現在見られる、丸く結球したキャベツは人類が長い時間をかけて品種改良したもので、もともとイベリア半島にあったと言われる原種にはケールのように茎があり縦に少し長く伸びていたそうです。その後、ヨーロッパ中に広まったのですが、食用といっても、胃腸を整える薬効があるから、という理由だったようです。その後、葉が丸まる物を選抜し続けて現在のような、地面からいきなり葉っぱが沢山生えて、真ん中が結球するキャベツになりました。日本にキャベツの仲間が入ってきたのは2つのタイミングがあるそうです。最初は17世紀の末、江戸時代の前期です。このときに日本に伝わったものは現在お正月などに飾られる葉牡丹になっていったそうです。二回目は明治の初期、西洋の農作物を導入するため内務省が種を輸入し、最初は東京で、その後は北海道で栽培に取り組みました。当初は洋食の添え物くらいしか用途が無いので生産は伸び悩みました。徐々に食の洋風化が進み、また、お好み焼きや焼ソバ、漬物など日本独自の使い方も工夫され、2015年には長年、野菜生産量トップの座に君臨し続けていた大根の143万トンを抜いて年間生産量147万トンで第1位(*1)になりました。キャベツにはいろいろな種類があります。通常キャベツとして販売されるもののほか、色が美しい紫キャベツ、鶏卵を立てたような形のポインテッドキャベツ。サボイキャベツは葉っぱがちりちりで縮緬キャベツとも呼ばれます。可愛らしい芽キャベツ、北海道には札幌大球といってとても大きなキャベツもあります。一抱えもあるようなサイズで、巨大な物では15kgにもなるそうです。生ではあまり食べなくて鰊漬けを作る時に使うとの事ですが、かじってみたら、堅くはなく甘味も有って美味しかったです。通常キャベツとして販売されるものには、大きく分けて3種類あります。寒玉、春玉とグリーンボールです。寒玉は冬系とも呼ばれ扁平でぎゅっと堅く巻いています。通常秋から初春まで流通します。春玉は、春キャベツや春系と呼ばれ、まきが緩く、丸い形をしています。今回のレシピで使ったのはこの春キャベツです。葉は柔らかくサラダなどに向いていますが、加熱するとすぐに煮崩れてしまいます。春キャベツは3月から7月くらいまで流通し、出始めの春キャベツを新キャベツと呼ぶ事もあります。グリーンボールは真ん丸いのでこの名があります。中心の方まで緑がかっています。春が出荷時期ですが流通量はさほど多くありません。3種類のキャベツの出荷時期をよく見ると夏出荷する種類がありません。じつは、夏に出回るのは寒玉なのです。長野や群馬の夏涼しい高地で夏場に出荷できるように寒玉を品種改良したもので高原キャベツの名前で出荷されます。
今回は春キャベツと新玉ねぎのタイサラダ 目玉焼きのせです。写真を見てお分かりの通り、味わいのポイントは目玉焼きです。調味料はナンプラーとライムと鷹の爪、砂糖です。それを混ぜ合わせるだけのシンプルサラダなのですが、これがワインと良く合います。この春キャベツと新玉ねぎのタイサラダ 目玉焼きのせにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、もうすぐ新発売されるモマンドール ロゼでした。このスパークリングワインはサントリーと世界No.1 (*2)カヴァのつくり手であるフレシネ社が共同開発しました。モマンドールとはスペイン・カタルーニャ語で「金のひととき」の意味です。グラスに注ぐと美しい色合いです。さくらんぼやラズベリーを連想させる甘やかな香りがありますが、口にいれるとやや辛口です。春キャベツと新玉ねぎのサラダと合わせると、しゃっきりとした春キャベツの風合いとモマンドールの爽やかさが良くマッチしていました。
「新玉ねぎと春キャベツの甘さがクローズアップされます!」
「モマンドールが辛口のロゼだからですね」
緑のニュアンスのあるキャベツと刺激のある玉ねぎを卵黄がうまくつないでくれています。そこにモマンドール ロゼが口の中に入る事でソースとして味が完成する。そんな感じがする合い方でした。
「サラダもモマンドールもそれだけで飲むよりもずっと美味しく感じますよね」
「双方が上がるという事は、良いマリアージュだという事でしょうね」
春キャベツと新玉ねぎを使った、春の息吹が感じられるタイ風サラダ、皆様も是非お試しください。
*1 農水省統計データ 2015年
*2 The IWSR 2015 スペインスパークリングワイン販売数量