この料理に合うワイン

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1st

ローラン・ペリエ ラ キュベ

ローラン・ペリエ
ラ キュベ

フランス
ぶどう品種 シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ

今回のレシピは、ホタテのグラタン柚子窯です。柚子窯は柚子をくり抜いて器に見立てて加熱する和食の調理法で、蒸して仕上げる事が多いです。最近では高級おせち料理のセットに入っているのを良く見かけます。写真をご覧いただくと、お判りのとおり、柚子の黄色が美しく存在感のある料理です。柚子はミカン科ミカン属の常緑樹です。学名はCitrus junos(シトラス ユノス)、シトラスは柑橘類を大きく示す言葉で、ユノスは柚子の古い呼び名である柚之酸からきていると言われています。和食では大変重要な食材で、黄色く熟した柚子は秋から冬の、かなり長い期間使われます。皮を薄く削ぎ切りにして椀ものに入れたり、皮の黄色い部分をすりおろして刺身や煮物に散らします。また幽庵焼きや幽庵蒸も、お品書きで良く見かける料理です。柚子大根、柚子味噌や今回のレシピの調理法である柚子窯では、柚子が主役と言えます。酒の肴や和菓子で柚べし、そして九州での重要な調味料として柚子胡椒など幅広く使われるのがこの柚子なのです。最近では海外でも柚子を使うシェフが増えています。海外に広めた立役者はエル・ブジのフェラン・アドリア氏だと言われています。初めて、来日した時に柚子の美味しさに感動し、友人のシェフ達に紹介したらあっという間に広がったようです。今から10年以上前に、パリのレストランで柚子に出会ったときには、料理説明でギャルソンに「ユジュ」と言われて、なにかフランスの食材なんだろうな、と勘違いしました。料理が運ばれてきて、香りを嗅いで「わっ!ユジュは柚子の事だったんだ!!」と驚いたのを覚えています。今回はホタテのグラタンを柚子窯に仕込みます。サブの具材にユリ根、ソースに生クリームと白みそを使いました。

このホタテのグラタン柚子窯にテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはローラン・ペリエ ラ キュベでした。ローラン・ペリエは1812年創業の老舗ですが実質的には先代のオーナーであるベルナール ドゥ ノナンクール氏が一代で大きくしたシャンパン メゾンです。ノナンクール氏は1945年にシャンパーニュ地方に戻ってきました。1945年と言うと大変大きな出来事があった年です。そうです!第二次世界大戦が終った年なのです!フランスにとっての第二次世界大戦はナチス軍に国土を蹂躙された戦いでもありました。ノナンクール氏はシャルル ド ゴール将軍らと共に、レジスタンスとして戦ったのです。シャンパーニュ地方に戻って4年間のシャンパンづくりの修行を終えたときに、母親からローラン・ペリエを引き継いで欲しいと言われました。当時100番目くらいに小さいシャンパン メゾンだったそうです。ノナンクール氏は「良いシャンパンをつくるには良いぶどうが欠かせない」と考え、毎日毎日農家を訪問し「自分のシャンパンづくりの夢」を語り、良いぶどうを売ってくれるようお願いしました。毎日のようにやってくるノナンクール氏の熱意はある程度伝わったのですが、農家も商売です、大手のシャンパン会社を優先せざるを得ませんでした。そこでノナンクール氏は農家に2つの提案をしました。1つめの提案は「良いぶどうならば、高い価格で買いましょう」というものでした。良いぶどうを高く買う事は、今では当たり前ですが、当時のシャンパーニュ地方のぶどうは公定価格だったのです。シャンパーニュ地方の畑では、すべての区画が「%」を使って細かく格付け評価されています。グランクリュは100%クリュだけを使ったもの、プルミエ クリュは90%クリュ以上を使ったものである事などは良く知られています。なので、格付けの存在自体はご存知の方が多いと思いますが、実は、この「%」は取引価格が決まる重要な数字だったのです。ある年の公定価格が1kg 100フランと決まったとします。そうすると100%クリュの畑のぶどうは100フラン、84%クリュの畑は84フランと自動的に決まったのです。ノナンクール氏は、良いぶどうであれば、この価格よりもプレミアムを付けて買いますという提案をしたのです。もう1つの提案は「悪い年のぶどうも買いましょう」というものでした。フランスの名醸地で最も北に位置するシャンパーニュ地方は天候の振れ幅が大きく、寒い年にはうまくぶどうが完熟しない事があります。大手メゾンは、そういった悪い年のぶどうをあまり買ってくれないのです。ノナンクール氏はそんな悪い年のぶどうも買うという提案をしたのです。農家は大喜びです。でも、ちょっとおかしいですよね?ノナンクール氏の信念は「良いシャンパンをつくるには良いぶどうが必要だ」というものだったはずです。ノナンクール氏は、その、あまり良くないぶどうを買って、泡の立たないコトー シャンプノワなどのスティルワインをつくったのです。高いぶどうを使って安くしか売れないワインをつくると、当たり前の事ですが経営は苦しかった・・・でも、徐々に農家の信頼をかち得る事が出来たのです。2010年にノナンクール氏が亡くなった時には、その頃からずっとローラン・ペリエ にぶどうを納め続けている農家の方のご子息たちが多数参列されていました。ノナンクール氏の理想のシャンパンの味わいは「フレッシュであること」「エレガントであること」そして「バランスが良いこと」です。その為にローラン・ペリエ ではブリュット L-Pにシャンパーニュ地方で最も高価なシャルドネを50%も使用するのです。これはN.V.シャンパン(ヴィンテージを名乗らないシャンパン)の平均のおよそ2倍にあたる多さです。グラスに注ぐと細かな泡が真珠のネックレスのように立ち昇ります。爽やかな柑橘系を思わせる香りと、青りんごの印象があります。ほんの少しだけ、パンをトーストしたような香りもあります。口に含むと軽やかです。フレッシュでみずみずしい果物の味わい。キレのある酸とふんわりとした旨味が良くマッチしています。まさにノナンクール氏が理想とした「フレッシュであること」「エレガントであること」そして「バランスが良いこと」を体現化したシャンパンです。

「うわっ! これは良く合いますね!!」

「ホタテのミネラル感と、自然に融合する感じです。なぜなのでしょうか?」

「シャンパーニュ地方の土壌はチョーク土壌。今から1億年くらい前の白亜紀、まだシャンパーニュ地方が海の中にあった時に数十ミクロンしかない円石藻というプランクトンの体の一部、炭酸カルシウムでできた円石が大量に降り積もって出来た土壌です。まさに海のミネラルの塊りともいえるのがチョーク土壌なのです」

「白みそとも良くマッチしています」

シャンパンは「コース料理の最初から最後までひとつの酒で通せるのはシャンパンだけ」と言われるくらい、さまざまな素材との相性が良いのです。また、ローラン・ペリエ は繊細な持ち味でお刺身や鮨などの和食とも、とても良く合います。これから年末年始を迎え、パーティーやお祝い事の席も多くあります。是非ローラン・ペリエ ラ キュベ、お試しくださいませ。

2位に選ばれたのはフレシネ カルタ ネバダでした。フレシネ社は世界No.1カヴァ(*)のつくり手です。カルタ ネバダは「雪の手紙」というロマンチックな名前でお洒落な白いフロスティーボトルに入っています。日本では黒いボトルのコルドン ネグロのほうが、多く販売されていますが世界的にはこちらのカルタ ネバダのほうがメジャーです。口当たりの良い、やや甘口のスパークリングワインで、洋ナシや干したあんずのような甘い香りが特長です。ゆり根のほくほくした口当たりと大地の力を感じさせる味わいも、カルタ ネバダにとても良くマッチしていました。柚子窯のグラタンソースに使われている白みその甘い味わいとカルタ ネバダの甘さのレベルがぴったりと合っています。ワインと料理のマリアージュで「似たもの同士は良い相性」という言葉があります。まさに「甘さレベル」が似ているので美味しく感じるパターンだと思いました。お正月のお節料理は伝統的に甘く仕上げるのが定番です。そのような甘味の強めのお料理にも、このカルタ ネバダはとても良く合います。白いボトルに金の美しいラベルも、パーティーや慶事の席にぴったりのデザインで御目出度い食卓が盛り上がること請け合いです。

* The IWSR 2015 スペインスパークリングワイン販売数量

2nd

フレシネ カルタ ネバダ

フレシネ
カルタ ネバダ

スペイン
ぶどう品種 サレーロ(チャレロ)、マカベオ、パレリャーダ

3位に選ばれたのはビオンタ アルバリーニョです。アルバリーニョはスペインで注目されている辛口白ワインです。ビオンタ アルバリーニョの産地はスペインでは冷涼で雨量の多い北西部の大西洋沿岸のリアス バイシャスです。リアス バイシャスは皆さんも地理で習われた「リアス式海岸」の語源になったところでなんですよ。入り組んだ海岸線で魚介類が豊富に獲れます。ワイナリーの窓からも鋭い岩に覆われた岬や島々が見えます。ホタテのグラタン柚子窯と合わせると、ホタテのピュアな旨みが鮮明にクローズアップされる感じでした。磯の香り、ミネラルのイメージ、ホタテ自体が持つ繊細で優美な甘み・・・・柚子の香りもアルバリーニョの熟した柑橘系と共鳴して美しいハーモニーを奏でていました。

3rd

ビオンタ アルバリーニョ

ビオンタ
アルバリーニョ

スペイン
ぶどう品種 アルバリーニョ

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