今回のレシピは、牛肉のグリル オレンジとセロリとミントのサラダ添えです。フランス料理の「焼く技法」には、グリル、ロティ、ソテー、ポワレなどがあります。ソテーはフライパンや浅い鍋で火をいれます。ポワレは、基本的には、浅い鍋に蓋をして蒸し煮にする技法ですが、最近は蓋をせずに、皮をパリッと仕上げるケースも増えています。ロティはオーブンで火をいれます。グリルは、もともとは直火で焼く調理方法です。直火で肉を炙る時に落っこちないように焼網や鉄灸を使います。鉄灸は鉄橋、鉄弓とも書きます。火の上に2本の鉄の棒を平行に掛け渡した道具です。焼鳥屋さんで串に刺した鶏を並べて焼いている、あの四角い箱が鉄灸です。直火で焼いたお肉は美味しいですよね。特に炭火だと遠赤外線効果でお肉がいっそう味わい深くなります。焼網や鉄灸を使うと、きれいな焦げ目がつきます。しかし直火だと、少し目を離すと、焼けすぎて黒焦げの場所が出来たりもします。そこで開発されたのがグリルパンです。グリルパンは複数の溝がついたフライパンで、美しい焼き色が簡単に付きます。でも、グリルパンは一般の家庭には余り無いのかもしれません。最近のホットプレートには付属で付いている場合もあり、これを使うと簡単にグリル料理が楽しめます。屋外でやるバーベキューも、網で焼けばグリルです。梅雨が明けると、キャンプやバーベキューに最適なシーズンです。今回は牛肉をグリルしました。
牛の家畜としての歴史は長く、今から約8,000年位前に、北アフリカや西アジアでオーロックスを飼いならして家畜としての「牛」にしたのが始まりのようです。このオーロックスはヨーロッパでは17世紀まで、野生種が生き残っていました。最後の雌のオーロックスがポーランドのヤクトロフカの森で死んで、絶滅したと記録されています。残された骨格標本からは、かなりずんぐりした体型で前脚から肩にかけて大きく盛り上がった、バッファローに似た姿をしていた事が判るそうです。牛は世界で広く飼育されていて、2013年の国際連合食糧農業機関の統計によると食肉として6400万トン生産されています。頭数になおすと大体14億頭くらいだそうです、物凄い数ですよね。今回、牛肉は和牛のサシがほどほどにあるロースを使い、それをグリルパンで焼きました。味付けはシンプルに塩こしょうです。付け合せはオレンジとセロリとミントのサラダですが、味わいのアクセントにクミンをオリーブオイルで炒めたものを合わせています。屋外でのバーベキューにも予め作って持っていけば、いつもと一味違う素敵な付け合せになります。この牛肉のグリル オレンジとセロリとミントのサラダ添えにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはエル グリル マルベックでした。このワインはアルゼンチンからやってきた「グリル料理の為のワイン」です。アルゼンチンと言えばタンゴ、そして世界第5位のワイン量産国です。また、アルゼンチン人は超肉食で、国民1人あたりの牛肉消費量の世界1位2位を争う国でもあるのです。そのアルゼンチンの特色あるぶどう品種と言えばマルベック、この品種はフランス南西地方のカオールでは「黒いワイン」と呼ばれています。またかつてはボルドーでも大規模に生産されていました。アルゼンチンの土壌や気候に良く合い、アルゼンチンを代表するワイン品種のひとつになりました。このエル グリル マルベックはブラックチェリーやプラムのコンポートを連想させる、黒い果実の香りと、スミレの花のニュアンスがあります。ハリのある若々しい果実味と、イキイキといた酸、程よいタンニンを持つ赤ワインです。牛肉のグリルと合わせるとマルベックの濃い味わいと牛肉のコクのある旨みとが良くマッチしていました。
「牛肉が美味しくなりますね!」
マルベックのキメの細かなタンニンと和牛のサシの脂が良く合っています。
「 エル グリル マルベックの味も伸びやかになる感じがします」
「肉の焦げた良い香りとマルベックの黒い果実の香りがぴったり合っていますよね」
付け合せのサラダも口にいれると、クミンの個性的な香りと、エル グリルのスパイシーなニュアンスが抜群の相性を示していました。
このエル グリルのラベルには屋外のバーベキューでよく使われる可愛い「パーティーボールグリル」があしらわれています。皆さんも、バーベキューで、そしてまたご家庭でのグリル料理でエル グリル、試してみませんか?