今回のレシピは、パステウ、ブラジル料理です。ブラジルと言えば、もうすぐ4年に一度行われるスポーツの祭典が開催されます。有名なブラジル料理は、シュラスコやフェジョアーダ、そして、このパステウなんかも良く知られています。パステウはパステルとも呼ばれます。大きさは様々で、20cmくらいあるものから、日本の一口餃子くらいのサイズまで色々あります。具材の定番は、牛肉のあら挽き肉か、現地でケイジョと呼ばれるチーズです。具材のバリエーションは、かなり幅広く、ピザの具が全部入ったようなものや、ポルトガル語圏では良く食べられるバカリャウ(干し鱈)を使ったものもあります。デザートタイプもあって、果物やチョコレートが入っているものもあります。今回、このパステウを紹介してくださったのはタイ料理の鈴木都先生。タイ料理のお仕事で今年4月から1カ月ほどブラジルに滞在している間にブラジル料理も習得されました。今日のレシピには牛挽肉とチーズを使いました。皮は現地では、専用のパステウ生地が販売されています。最近は日本でもネットで冷凍のパステウ生地がロール状やシートで販売されていますが、今回は簡単に手に入る春巻きの皮を使いました。都先生はこのマリアージュ実験に先立ち、いろいろな市販の皮で試作をしてくださいました。現地のパステウに一番近い食感になるのは餃子の皮なのですが、形が餃子型になってしまいます。そうすると味はパステウなのですが、見た目がどうしてもパステウに見えません・・・・・いろんな皮を試すうちに春巻きの皮を二重にして使うという技に辿り着いたそうです。二重にした春巻きの皮にスライスチーズを乗せ、その上にあら挽きの牛肉と黒オリーブのみじん切りを炒めたものを乗せて包みます。ふちを、ぎざぎざに切ると、よりパステウらしくなります。油で揚げ焼きにしてキツネ色になったら出来上がりです。1枚目の皮はパリパリ、2枚目の皮は、ちょっと、もっちり。具の牛肉は黒オリーブで程よく塩味がついています。このスポーツ観戦の時のおつまみにもピッタリのパステウにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはサンタ バイ サンタ カロリーナ カルメネール/プティ・ヴェルドでした。このワインは今年の3月に発売されたばかりの新製品で、チリ産のフルボディのワインです。かなり色の濃いワインなので通称は「サンタ ブラック」です。品種はチリを代表するカルメネールとボルドーでは補助品種であるプティ・ヴェルドを使っています。プティ・ヴェルドは晩熟でスパイシー、強いタンニンの骨格を持つぶどう品種です。最近日本でも栽培に取り組む生産者が増えています。登美の丘でも栽培していて、力のある、なかなか良いワインが出来ているんですよ。サンタ ブラックをグラスに注ぐと色は濃く、深いガーネット色です。香りは色の濃いベリー、カシスやブラックベリーなど黒のイメージを持つ、濃い色の果物を連想させます。良く熟した果実の甘い香りとスパイシーなニュアンスがあります。口に入れると、果実味たっぷりです。色の割には、タンニンは柔らかく充実感のあるワインです。
パステウと合わせると牛肉の旨みとサンタ ブラックのスパイシーさが絶妙に合っています。パステウ自体に感じられるスパイシーさが強調されているようにも見えます。
「パステウの具材には、どんなスパイスを使っているのですか?」
「黒オリーブと牛肉、チーズと塩以外には何も入っていません、胡椒はブラジルでは、あまり使わないんですよ」
「結構、スパイシーに感じますね」
「黒オリーブからの味わいだと思います、それが、サンタ ブラックのスパイシーさが料理と合っているんですね」
「ブラジルってシュラスコとか、お肉も沢山食べるのに、胡椒をあまり使わないんですね?!」
「胡椒も唐辛子も同じピメンタ(Pimenta)と言う言葉です。唐辛子のほうは良く使いますよ」
「唐辛子と胡椒が一緒の言葉って、九州に似ていますね」
「サンタのコクは、牛肉の旨味だけでなく、黒オリーブの味わいや塩気とも良く合っています」
チーズが全体の調和を上手く保っている感じがしました。
南米でのスポーツの祭典に向けて、これからますます盛り上がっていくと思います。是非ご自宅でもブラジルのパステウとチリのサンタ ブラックを是非お試しくださいませ。