今回のレシピは、新玉ねぎと新じゃが 生ハムのサラダです。春は、心あらたまる季節です。新生活、新入社員、新一年生・・・・・希望に胸が膨らむ時期です。「新」のつく野菜も沢山出回ります。今日はその中でも代表格である新玉ねぎと新じゃがを使います。新じゃがは普通のじゃがいもを早い段階で収穫したものです。一方新玉ねぎは若干違います。玉ねぎには大きく分けて表皮が黄色の黄玉ねぎと白色の白玉ねぎの2種類があります。通常スーパーなどで見かける玉ねぎは黄玉ねぎがほとんどです。保存性を高める為に、良く乾燥してから出荷されます。一方新玉ねぎは白玉ねぎが主流です。白玉ねぎは黄玉ねぎに比べて辛味が少なく、火を通さなくても食べる事が出来ます。店頭でサラダ玉ねぎと表示されていたり、緑の葉が沢山ついていて「葉も食べれます」と書いてあったら白玉ねぎです。新玉ねぎのかなりの部分はその白玉ねぎを早生に改良して、しかも水分の多い状態で出荷したものです。また、黄玉ねぎを乾燥処理せずに出荷されるものも新玉ねぎと呼ばれて、この季節に流通します。新玉ねぎのブランド化も進んでいて、愛知のたま坊、兵庫県の淡路島フルーツ玉ねぎ、宮崎の空飛ぶ新玉ねぎや北海道の真白(ましろ)などが有名です。各地で新玉ねぎの旬の時期は異なっており宮崎や愛媛だと年末から出荷が始まる年もありますし、北海道の真白は8月9月が出盛りとされています。
生でよし、ちょっと火を入れてもよし、とろとろになるまで加熱すると、ぐっと甘さが増して美味しい新玉ねぎを使って、ワインに合うサラダを作ります。新玉ねぎはレンジで2-3分、火を入れ甘みを際立たせます、新じゃがはオリーブオイルで、かりかりに揚げます。ドレッシングはパセリを刻んで、白ワインビネガーと白ワイン、エキストラバージンオリーブオイルを混ぜたシンプルなものです。この春薫るサラダにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはジョルジュ デュブッフ ボジョレーでした。ボジョレーと聞くと日本人は、まずヌーヴォーを思い浮かべますが、春のボジョレーも趣きが有って良いものです。解禁日に間に合わせる為に全ての作業を大急ぎで行うヌーヴォーに比べて、時間にゆとりのある普通のボジョレーは、主発酵やマセラシオン(醸し=色や香りを果皮から引き出す工程)にじっくりと必要なだけ時間を費やす事ができ、それだけ深みのある味わいとなるのです。ジョルジュ デュブッフ ボジョレーをグラスに注ぐと明るいチェリーレッドです。スワリング(グラスを回してワインに呼吸をさせる)するとキラキラと光が反射して美しいルビー色の影がテーブルに映っていました。グラスからはイチゴや赤いベリーを思わせる柔らかな香りが昇ってきます。口に入れると、しなやかで果実味たっぷりです。新玉ねぎと合わせると、玉ねぎの甘さとボジョレーの果実が調和しています。
「これは良く合ってますね」
「玉ねぎのたっぷりとした甘みに果実味の奥行きが付け加わって、複雑味がでました」
「そうですね、シンプルなボジョレーがワンランク上の味わいにランクアップした気がします」
「新じゃがとの相性も良いですね、ほっくりとしたじゃがいもが口の中で心地良く、ほどける感じがとても良いです」
「生ハムの塩っ気と熟成によるコクと、ボジョレーのフルーティーさがバランス取れていています」
厳しい冬を乗り越えた春には、特有のウキウキする期待感があります。その春の恵みを軽やかなボジョレーと共に、お楽しみくださいませ。