今回のレシピは、あら挽きハンバーグ チョコレートソースです。ハンバーグの起源は、一般社団法人 日本ハンバーグ・ハンバーガー協会のHPによると「18世紀頃ドイツの港町ハンブルクで労働者に人気のあったタルタルステーキだと言われています」となっています。タルタルはタタールが語源で、タタールはモンゴル高原からリトアニアにかけて勢力を誇ったモンゴル系やツングース系の民族を指す言葉です。彼らは軍馬として、そして労役用に馬を沢山持っていました。年老いた馬は食用にするのですが、当然硬く筋張っていますので、美味しく食べる為には細かくミンチにする必要があったのです。そのタルタルステーキが人気になったのがドイツのハンブルク、そしてハンブルクが転じてハンバーグになったのですね。今回のソースは間もなくやってくるバレンタインデーにちなんでチョコレートソースです、それも隠し味に、少量使うのではなく、2人前で60g!も使います、しっかりとチョコレートの味わいのあるソースなのです。しかもワインに合います!!実験の時には70%カカオのビターな物を使いました。肉は牛肉の赤身です、それをあらめに叩きます。きつね色になるまで炒めた玉ねぎと合わせてしっかりこねます。つなぎのパン粉は使わずに卵黄だけでこねていきます。ソースにはチョコレート60gのほかに、フォンドボーと赤ワインを100ccずつ使いました。赤ワインは濃厚なタイプのほうが美味しく出来るようです。
この、あら挽きハンバーグ チョコレートソースにテイスティングメンバーが推薦するイチオシワインはヤルンバ ザ シグネチャーでした。ヤルンバ ワイナリーは現存する家族経営のワイナリーとしてはオーストラリアで最も古いワイナリーだそうです。1849年、イギリスの移民サミュエル・スミスが12歳の息子シドニーと共に月明かりの下でぶどうを植え、「ヤルンバ」先住民の言葉で「すべての土地」と名付けたのが始まりです。現当主は創業者から5世代目にあたるロバートヒル・スミスです。醸造所は南オーストラリア州アデレードの北東約80kmに位置します。バロッサ ヴァレーとエデン ヴァレーの境界線にあるアンガストンの町からちょっとだけ エデン ヴァレーに入ったところです。境界線からは、数百メートル、ほんのちょっとです。ヤルンバのシグネチャーはシグネチャー=署名という名を持つ、創業家が誇るフラグシップワイン。 1962年から良い年にのみつくる、まさに「サイン入り」の逸品なのです。今回テイスティングした2012年ヴィンテージはカベルネ・ソーヴィニヨン52%、シラーズ48%、で醸し、ヤルンバが所有している製樽工場で作った樽で22ヶ月熟成させました。色は濃く、色々な果実のリキュールを連想させる豊かで優雅な果実の香りがあります。クローブやチョコレート、燻製肉のニュアンスも併せ持っています。上品で複雑な果実味と、ピュアな酸味、溶け込んだタンニン。緻密さと、力強さのあるスケールの大きな味わいのワインです。
写真をご覧ください!!
ハンバーグには美しい焼き色がついています。敷かれたソースは、まさにチョコレート色です。チョコレートの香ばしい香りが立ち昇っています。追いかけるように肉の焼かれた良い香りも、やってきます。
「まさにチョコレートですが、肉の香りと違和感無いですね」
「肉自体にもココナッツのような香りがあるからですかね?試食する前は、えっ?チョコレートソース??って思っていましたけど・・・・・」
「ビターチョコレートだからソースは甘く無いからね」
ワインと合わせていきます。
圧倒的に赤ワインとの相性の良さを感じます、それも濃厚さを持ったワインの方に分があるようです。
「やはり白ワインは、この料理とは違いますね」
「赤でも軽やかなタイプはソースに力負けしています」
ヤルンバ ザ シグネチャーのシラーズからくる凝縮感と滑らかさ、カベルネ・ソーヴィニヨン由来のスケールの大きさとチョコレートソースのリッチで芳醇な味わいとが良くマッチしていました。
「ヤルンバ ザ シグネチャーは流石、トップキュヴェの濃さですね、これだけねっとりとしたソースに、ビクともしません」
今日、試したシグネチャーは2012年で、まだ若かったですが、熟成した後は、更に良いマリアージュが楽しめると思いました。
あら挽きハンバーグ チョコレートソース、甘いチョコレートは苦手なパートナーがいらっしゃる方、是非、試してみてください。