今回のレシピは、ザクロとオレンジと白身魚のカルパッチョです。カルパッチョは、イタリア料理で、赤身の牛肉を薄切りにしてマヨネーズソースを掛けたものです。この料理の起源は諸説ありますが、あの有名な桃とスプマンテのカクテル「ベリーニ」を創作したハリーズ バーのオーナーが作ったと言う説が有力です。日本では、カルパッチョには様々な素材が使われます。マグロやタコ、白身魚や青魚などでも作られます。今回は白身魚、それも鯛を使いました。付け合せはオレンジとザクロです。ザクロは秋に熟す果樹で、日本でも庭木として時々見かけることがあります。赤く丸い、やや大きめの実で先端が尖っていて、熟すと先から割れて、中の赤い実が顔を見せます。市場で売られているものは、国産の物は、ほとんど無く、カリフォルニア産が大半です。食べる部分は透きとおるような美しい赤で、真ん中にちょっと大きめの種があり、爽やかな甘酸っぱさが特長です。
このザクロとオレンジと白身魚のカルパッチョにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、サンタ バイ サンタ カロリーナ ソーヴィニヨン・ブラン、この秋、新発売したばかりのチリワインでした。サンタのラベルには可愛らしいネコのようなアイコンがはいっています。この動物は、ネコに見えなくもないのですが、実はピューマです。南北アメリカ大陸に広く生息する大型の肉食獣で、ライオンやトラよりイエネコに近く、ネコ亜科に属します。大きな個体だと100kgになるものもいて、チリではチリアンライオンと呼ばれています。このサンタを醸しているサンタ カロリーナ社は1875年にドン・ルイス・ペレイラ・コタポス氏によって創業された、チリでは先駆的なワイナリーで、140年もの歴史を誇ります。会社の名称は創業者ドンの愛する妻、カロリーナ夫人の名前からきています。サンタ カロリーナ社が創業したころのワイン業界は大混乱の時期でした。ワイン大国であったフランスにアメリカからブドウの宿敵フィロキセラが侵入してきたのです。1863年の事でした。フィロキセラの威力は凄まじく、ほとんどのブドウ園は荒廃してしまいました。なんと巨大なワインの供給国であったフランスが突然壊滅してしまったのです。その穴を埋めたのは、イタリア、スペインそしてチリのワインでした。荒廃したワイナリーから当時最先端の技術を持った栽培家や醸造家がチリに移住してきたこともあり、チリのワインはめきめき品質向上しました。1889年パリ万博ではサンタ カロリーナ社の「レセルヴァ デ ファミリア カベルネ・ソーヴィニヨン」が金賞を受賞し、チリの品質の向上を世界に知らしめる先駆けとなりました。伝統ある本社のセラーはチリの国定記念建築に指定されている文化財でもあり、現在も使用されています。サンタのソーヴィニヨン・ブラン/シャルドネは爽やかな香りを持つソーヴィニヨン・ブランとコクのあるシャルドネを合わせて、デリケートな和食にもマッチするように設計されています。
カルパッチョと合わせると、鯛の白身らしい繊細な甘み、旨みを邪魔することなく上手に引き立てていました。オレンジの柑橘系の香りともソーヴィニヨン・ブランの品種香が共鳴し素敵なハーモニーを奏でていました。
「自然に馴染む感じですね」
「ザクロが綺麗でアクセントになっています」
「うん、お皿の色合いは華やかで、香りや味わいが強そうな外見だけど、実は料理としての主張は控えめでおとなしい味わいだから、強すぎるワインだと、ワインが勝っちゃうんでしょうね」
「たしかに、サンタはちょうど良いボリューム感ですよね」
料理に寄り添う感じのサンタ、是非お試しくださいませ。