今回のレシピは、ラープ プラー ソット(タイ風マグロタルタル)です。ラープはお肉のはいったタイのサラダです。生肉を使うことも、炒めた肉を使う場合もあるようです。素材は豚肉とか鶏肉が多く使われ、牛やアヒル、七面鳥なども使い様々です。地方によっては魚で作ることもあります。今回はラープ プラー ソットです。プラーは魚、ソットは生ですのでタイ風魚のタルタルといったところでしょうか。今回、魚はマグロの赤身を選びました。盛り付けはワイン会などにも使い易いようにカナッペのスタイルにしました。味付けはナンプラーとライムの絞り汁と砂糖。ポイントは、良く炒ったお米とミントです。お米はフライパンや小鍋でから煎りしてキツネ色にします。それをすり鉢ですりますが、完全に細かくせずに、少しざくざくした食感が残るようにします。ミントの爽やかさと、マグロのねっとりとした鉄っぽい味わい、それに煎り米の「ぱりぱり、さっくり」した口当たりが上手く調和します。
このラープ プラー ソットにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはサンタ バイ サンタ カロリーナ カベルネ・ソーヴィニヨン、今、伸び盛りのチリワインでした。チリワインの日本での販売は、2008年から2014年の7年間でなんと5倍以上に急成長しました。赤ワインブームがあった1997年から1998年はポリフェノールブームとも言われましたが、チリカベブームでもありました。チリカベ=チリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンのワインは低価格のわりに味が良いと評判になり、ブームになったのです。チリワインはそのブームの時期に急成長し1990年代の末から2000年代の頭にかけては、大体90万ケースくらいの規模で安定していましたが、再び急速に伸びだしたのは2007年でした。大幅な伸長のきっかけは2007年に日本とチリの間でFTA=自由貿易協定が結ばれ、9月に発効した事です。ボトルワインにおいては関税が13年かけてではありますが段階的に無税になって行きます。その結果2014年度のチリワインの輸入数量は480万ケース、なんと5倍以上になったのです。
サンタ バイ サンタ カロリーナは数有るチリのワイン産地でも、ど真ん中のセントラル ヴァレーのぶどうを使用、豊かな果実味と完熟ぶどうの程よい厚みです。タンニンは強すぎず弱すぎず、素直で飲み飽きない味わいが特長のワインです。
ラープ プラー ソットと合わせると、カベルネ・ソーヴィニヨンの力強さとマグロの赤身の鉄っぽい味わいとが良く合っていました。
「ミントの清々しい緑の香りとワインの香りが良く合います!ワインだけでテイスティングした時はこの爽やかな緑系の香りは余り感じなかったのですが、ラープを食べると明らかに感じますね、なぜでしょう?」
「カベルネ・ソーヴィニヨンの品種の特長で緑系の香りを隠し持っているのが、ミントと共鳴して強く感じるのでしょうね。昔のカベルネ・ソーヴィニヨンはピーマンとか、ほうずき香とかシダー(西洋杉)と呼ばれるこの緑系の香りが強くありました。最近の生産者はこの特性をあまり好まないんですよ。この緑系の香りを消すためにぶどうの完熟期にはぶどうのまわりの葉っぱをむしってフサに太陽の光を当てるんです。そうすると緑のタッチは減るのです」
「今回実験したワインは白が10種類、ロゼ3種類、赤3種類で白ワインのアイテム数が多かったのですが、全般的に白より赤ロゼのほうが良い感じですね」
「マグロは魚とはいえ、赤身だから、赤の方に分があるのでしょうね」
ラープとワインの両者共に深みを増したマリアージュ実験でした。