今回のレシピは、グリーンカレーコロッケ、タイ料理で有名なグリーンカレーをコロッケに仕立てました。市販のグリーンカレーペーストを使うと簡単にできます。アクセントのハーブに、レシピではバジルを使っていますが、タイではホーリーバジルを使うのが一般的です。ホーリーバジルはガパオライスのガパオの事で、和名は神目箒(かみめぼうき)と言います。英語でも「聖なるバジル」の名前が与えられているくらいですから、大変有難いハーブなのです。実際、アジアの各地で薬用として、また、宗教儀式用として使われています。目箒はバジル(スイートバジル)の和名で、種子を水に漬けるとトノサマガエルの卵のようにゼリー状の物質に包まれます。昔はこのゼリーで目に入ったごみを取り除いたりしたので「目の箒」=目箒と呼ばれたそうです。自宅でバジルを育てると花が咲き、種ができます。種が取れたら是非、水に一晩漬けてみてください。びっくりするくらい大きくふくらみ、そして、びっくりするくらいカエルの卵そっくりです。実際、関西の、ある水族館ではカエルの卵"風"スープとしてバジルの種を使ったスープを提供しています。
今回はじゃがいもを茹でてつぶし、グリーンカレーペーストと鶏ひき肉を炒めて混ぜ合わせたものにバジルを入れて丸めてコロッケにします。ちょっぴりスパイシーで爽やか、夏らしいおつまみの完成です。
このグリーンカレーコロッケにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはビニャ マイポ レセルバ ビトラル シラーでした。ビニャ マイポ社は1948年チリの中央部のマイポ ヴァレーで設立されました。マイポ ヴァレーはぶどう生育期の春から秋にかけて、ほとんど雨が降らず乾燥しています。そのおかげで病気が極めて少ないところなのです。また南極から寒流であるフンボルト海流が流れており、日照量のわりに平均気温が低く糖度が上がっても酸が落ちません。糖の凝縮と酸の豊かさを併せ持ったぶどうができるのです。日中と夜の温度差も大きくぶどうが色濃く育つのに理想的な環境です。更にチリにはぶどうの宿敵フィロキセラがいません。まさにぶどうにとっては楽園なのです。2007年にチーフワインメーカーにマックス・ウエィンラウブ氏を登用、『バランスとハーモニー』を重要視するワイン造りをすすめてきました。また、マックス氏はビニャ マイポに植えられていたさまざまな品種の中で特にシラーのポテンシャルに着目しました。小高い丘の区画に植えられていたシラーの特別な色合い、鮮烈なアロマ、力強く、かつ穏やかなタンニン・・・。シラーが、すでにチリで地位を確立していたカベルネ・ソーヴィニヨンやカルメネールを上回るポテンシャルを持っている事を確信したのです。
グラスに注ぐと、非常に色が濃いです。甘やかな香りが豊かで、熟したプラムやブラックベリーを思わせるアロマと、チョコレートやヴァニラのニュアンスがあります。ほんのりとミントを思わせる涼やかな香りとスパイシーさもあります。口に含むと、濃厚でたっぷりとした口当たり、完熟した果実味と、ほど良い酸がありバランスのとれた味わいです。ラペル ヴァレーの畑のシラーを100%手摘みし、ステンレスタンクで発酵、8ヶ月樽熟させます。樽材にはシラーとの相性を考えてアメリカンオークを使用しています。
グリーンカレーコロッケとあわせると、スパイシーなニュアンスが強調されました。
「香りが良い!」
「グリーンカレーコロッケを食べて、グラスを鼻に近づけるだけでお互いの香りが華やかになるのが判ります」
「特にハーブ、スパイス系ですよね」
「バジルとビニャ マイポ レセルバ ビトラルのミントのタッチが良く合っています」
畑のそばにユーカリの林があると、この爽やかなミントのニュアンスが出てきます。
「それと黒胡椒!シラーからも感じます」
「最優秀ソムリエコンクールの優勝者も、『シラーは黒胡椒で探す』と言っているくらいだからね」
コロッケのしっかりとした旨みとビトラル シラーの濃厚さもよくマッチしていました。
これからの季節にぴったりの、ワインに良く合うおつまみです、ぜひお試しください。