今回のレシピは、パクチーとイカのサラダです!最近パクチー料理の専門店が出来たりして、話題の多いパクチーですが、英語ではコリアンダー、中国では香菜(シャンツァイ)と呼ばれ世界中で広く使われています。歴史的にも古くから使われていたようで、古代ギリシャや古代ローマで薬草としての記録があります。日本にも古くから伝わっていて、平安時代の法律や決めごと集である「延喜格式」にコリアンダーと推測される植物が出てくるそうです。
コリアンダーはセリ科に属しています。セリ科にはセロリ、クミン、チャービル、フェンネルなど香り豊かな仲間たちが一杯います。コリアンダーは生葉だけでなく種や根も使われます。最近話題になっているのはどちらかというと生の葉で、独特の香りが強く好き嫌いが、きっぱり分かれる食材です。
今回、パクチーは宮崎県の国富町で栽培されたものを使いました。イカはスミイカ、ほんの一瞬茹でました。タレはナンプラー、ライムの搾り汁、砂糖のシンプルなものです。
このパクチーとイカのサラダにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、カステル ブレサック ボルドー 白でした。カステル社は1949年に現会長のピエール カステルによってボルドーで創業されました。最初はネゴシアンとして、そして徐々に業容を拡大し、フランス各地にワイナリーを多数所有するようになってきました。1988年には大手ワイン専門チェーンであるニコラを取得、現在ではメドックの格付けシャトーであるベイシュヴェルをサントリーと共同経営するまでに至っています。カステル ブレサック ボルドーはボルドーワインのベストセラーワイン(※1)であるカステル バロン ド レスタックの妹ブランドとして1997年に誕生しました。兄貴分のバロン ド レスタックは、しっかりと樽熟成をした力強い味わいのワインで1995年に発売されました。ピエール カステルは綿密な消費者調査の結果「消費者は樽の風味が豊かでがっしりとしたボルドーワインで、しかもリーズナブルなワインを求めている」と確信し、このバロン ド レスタックを世に送り出しました。バロン ド レスタックはたちまち高い評価を得て、爆発的に売れました。ピエール カステルは消費者の満足度を確かめるために再度大規模な消費者調査をしました。結果は概ねピエール カステルの予想通りのバロン ド レスタックへの高い評価だったのですが、少なからぬ数の異なる評価があるのを見逃しませんでした。「樽の香りはそんなに好きではない」「果実味がもっと豊かなほうが好き」「力強いワインよりエレガントなワインのほうが好もしい」・・・ピエール カステルはバロン ド レスタックとは味わいの構造が違うワインも必要であると感じ取ったのでした。カステル ブレサック ボルドーは発売以来わずか7年でフランス国内におけるボルドーACワイン年間販売数量第2位(※1)になりました。
グラスに注ぐと、もぎたての柑橘をぎゅっと搾った感じの鮮やかなグレープフルーツやレモンを思わせる、いきいきとしたフルーツそのものを感じます。青草の爽やかな香りもわずかにあります。味わいはフレッシュで、心地良い酸。果実味がストレートに伝わってくる、バランスの取れた味わいのワインです。
パクチーのサラダと合わせると、ソーヴィニヨン・ブランを70%も使用しているにもかかわらず、ハーブのニュアンスは比較的大人しく、控えめにあがってくる印象でした。
「自然にとけ合っている感じですね・・・・」
「確かに!他のソーヴィニヨン・ブランではパクチーの香り爆発!!に、なるものがありましたが、カステル ブレサック ボルドーの場合は穏やかですね」
「もともとソーヴィニヨン・ブランの青草のニュアンスを前面に出す味わいの構造じゃないからねぇ」
「穏やかですが、パクチーらしさ、ソーヴィニヨン・ブランらしさは、きちんと表現しています」
ワインの味わいが繊細で控えめな分、イカの素材としてのほのかな甘みが、よりくっきりと見えていました。パクチーとボルドーの白ワインとの相性の良さが確認できたマリアージュ実験でした。
※1 IRI FRANCE 2014データ フランス国内、ボルドーACワイン 2014年 年間販売数量