今回のレシピは、クアトロ フォルマッジオのピザです。ピザは子供たちにも大人気のメニューです。ご家庭では冷凍のピザやチルドのピザを焼いたり、宅配のピザを食べる事はよくあっても、生地から作る事はあまり無いのではないでしょうか?今回の記事の参考文献を探しに、大手書店に行って驚きました。その書店には、イタリア料理の本が書庫2台にわたって並べられていましたが、なんと、そのうちの約半分、120種類をパスタの本が占めていました。ピザの本はというと、たった3冊だけでした。自分のレシピでピザを作ってみようという方が少ない事の現れかなぁ、と思いました。今回のレシピは本格チーズをふんだんに使ったちょっと贅沢なピザです。もちろん生地から作りますが、発酵させませんので比較的簡単です。チーズは4種類、モッツァレラ、パルミジャーノ、ゴルゴンゾーラ、タレッジオです。モッツァレラは水牛の乳でフレッシュタイプ、それも、パスタフィラータと呼ばれる生地(=パスタ)が、繊維状に裂けるチーズです。パルミジャーノは牛乳で加熱圧搾、熟成していくうちにアミノ酸が結晶状に固まってくる旨味たっぷりのチーズです。ゴルゴンゾーラは牛乳の青カビチーズで世界三大ブルーチーズのひとつに数えられます。タレッジオは牛乳のウォッシュタイプです。熟成中、週に1回程度塩水で洗う事により、表面がオレンジ色に熟成していきます。4つすべてイタリアのチーズです。これで今回のピザを作っていきます。生地はよくこねて休ませ薄くのばします。4つのチーズをまんべんなくのせ、くるみを散らし240℃のオーブンで焼いて、はちみつをかけたら出来上がりです。
このチーズをたっぷりと使ったクアトロ フォルマッジオのピザにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはトリヴェント レゼルブ トロンテスでした。トリヴェント社は、1996年、コンチャ イ トロ グループがアルゼンチンのメンドーサに創設したワイナリーで、創設から、わずか10年足らずでアルゼンチンワインの輸出量第2位に急成長しました。2009年には、インターナショナル ワイン&スピリッツ コンペティション(IWSC)における『ベスト アルゼンチンワイン プロデューサー賞』を受賞するなど内外から非常に注目を集めている会社です。メンドーサの中心部の標高612~1,100mに8つのブドウ畑、合計1,289ヘクタールを所有しています。トリヴェントの名前は3つの風からきています。ZONDA, POLAR, SUDESTADA・・・・アンデスを越えて吹く乾燥した暖かいゾンダ風。冬に南極から吹く冷たいポラール風。嵐のときに吹く冷たい南東風。これら3つの風はアルゼンチンのぶどうを育む上で重要な風です。トリヴェント社のロゴのTの前にある3本の線は3つの風を表しているのです。今回選ばれたトロンテスはアルゼンチンの白ぶどう品種ではとても重要で、アルゼンチンの白ワインが世界的に注目を集めるきっかけになったぶどう品種なのです。ボリュームのある香り立ち。大きな白い花やマスカット、ライチなどを連想する香りがあります。ぶどうの完熟由来の甘やかさとキレのある酸のバランスが心地よいワインです。
クアトロ フォルマッジオのピザとトリヴェント レゼルブ トロンテスを合わせると、4つのチーズの幾重にも織り重ねられた複雑な香りとトリヴェント レゼルブ トロンテスの華やかでゴージャスな香りとが見事に調和しています。
「タレッジオの少しクセのある香りとトロンテスの白い花のニュアンスが良く合っています」
「ゴルゴンゾーラの青カビ独特のピリッとくる味わいとトロピカルな果物感がうまくマッチしてるよね」
「くるみとはちみつも良いアクセントになっています」
「モッツァレラの水牛の白っぽい香りとライチのタッチが絶妙ですよ!」
個性の異なる4つのチーズの様々な要素、それぞれの良さを素直に伸ばして、更にハーモニーとして上手にまとめている、そんな印象を持ったマリアージュ実験でした。