今回のレシピは、揚げ餅のオニオングラタンスープです。玉ねぎはヒガンバナ科ネギ属の植物です。世界中、幅広いエリアで生産されており、野菜の中ではトマトに次いで生産量が多く、世界で約8,300万トン生産されます。様々な料理に使われ、生ならばサラダ、マリネ、煮込んでカレー、肉じゃが、炒め物にも良く使われます。生の時には刺激があり、刻むと涙が出てきますが、火が通ると甘くなり幅広い料理に対応できる控えめな名脇役です。その玉ねぎが主役を張るのがオニオングラタンスープです。オニオンスープはフランス、ドイツ、イタリアなどでよく食べられる家庭料理で、玉ねぎをじっくり炒めて、トーストしたフランスパンを載せるだけのオニオンスープバージョンと、更にチーズを振り掛けてオーブンで焼くオニオングラタンバージョンがあります。手間はかかりますが、素材そのものはお手頃な値段で冬の寒い時期には心から暖まるお料理です。今回はフランスパンの替わりに餅、それも揚げ餅にして使いました。
この揚げ餅のオニオングラタンスープにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはサンタ カロリーナ シャルドネ レセルヴァでした。サンタ カロリーナ社は1875年ドン・ルイス・ペレイラ・コタポスにより設立されました。ワイナリーの名前はドン・ルイスの妻の名カロリーナが由来です。ドン・ルイスは鉱業事業で大成功を収め、公的にも外務大臣にまで上り詰めた人物です。1877年、ドン・ルイスは理想的な醸造所を建設するため、フランスの建築家のエミリオ・ドワイエール氏を招きました。1880年に完成したサンタ カロリーナのセラーはチリの国定記念建築に選ばれるほどの名建築物なのです。ドン・ルイスが醸すサンタ カロリーナのワインはたちまち評判になりました。1889年、レゼルバ デ ファミリア カベルネ・ソーヴィニヨンがフランスの万国博覧会で金賞を受賞しチリワインが世界的な評価を受ける先駈けとなりました。ちなみに1889年のパリ万国博覧会はエッフェル塔が建てられた万博として有名です。
ワインをグラスに注ぐと、少し深みを感じさせる淡めの黄色で、良く熟した柑橘や洋ナシを連想させる香りがあります。バニラを思わせる樽由来の香りも感じられます。口に含むとまろやかで、充実した果実味を持つワインです。
オーブンから揚げ餅のオニオングラタンスープを取り出すと、焼き色がとても美しいです。チーズがかかった辺りは狐色、オニオンスープが見え隠れする辺りは茶色です。焦げたチーズの香りと炒められた玉ねぎの甘い香りが漂ってきます。
サンタ カロリーナ シャルドネ レセルヴァと合わせます。スプーンで揚げ餅をすくうと揚げ餅の「かりかり」とチーズの「とろりーん」が美味しそうなコントラストを見せます。オニオングラタンはとろっとろで、良く炒められた玉ねぎ独特の甘味があります。深く濃く詰まった濃厚な味わいです。ワインとあわせるとサンタ カロリーナの素直な果実の凝縮感と濃密なオニオングラタンの濃さとが非常に高いレベル同士で調和していました。
「濃いですね」
「軽い白ワインでは、全く太刀打ちできませんねぇ」
「スープに甘みが、しっかりと有りますので、ワインサイドに力が無いと、しんどいですね。その点サンタ カロリーナ シャルドネ レセルヴァは抜群です」
「餅が良いですよね」
「揚げた食感がかりっと香ばしくて、そこがチーズと良く合います」
「低温でゆっくり揚げるのがポイントです」
最近のお餅は個別包装で長持ちします。お正月に残ったお餅や鏡餅の中のお餅がまだ残っているお宅も多いのではないでしょうか?是非、心底暖まる揚げ餅のオニオングラタンスープ、作ってみてください!