今回のレシピは春巻きです。普通の中華風の春巻きではなく、スナップエンドウとパンチェッタを使った、ワインスクエア流の春巻きです。スナップエンドウは、豆になるエンドウの鞘を早摘みにしたものです。スナップエンドウのSnapは写真のスナップショットなどと同じ綴りで、「早い」「速射」といった意味合いだそうです。エンドウマメが充分に大きくなるのを待たずに「早く収穫」することから命名されたんでしょうね。市場での表示ではスナックエンドウになっているケースも見かけます。先日、ホームセンターの種売り場で「スナックエンドウ」と言う名で陳列されているのを見かけました。農林水産省のホームページでは昭和58年にスナップエンドウに名称を統一した、と、ありますが、まだ一部には商品名称などでスナックエンドウの名前も生き残っているんですね。
色が、緑鮮やかで、歯ごたえも、ぱき、ぽき、しゃっきりとした、いかにも春らしい食材です。もうひとつの食材はパンチェッタです。パンチェッタは豚バラ肉の塩漬けのことです。生の豚バラ肉もパンチェッタと言いますが、今回のレシピでは塩漬け豚バラのほうを使いました。あと、この春巻きに忘れてはいけないのが、ゴルゴンゾーラチーズとハチミツです。この2つが加わる事で、複雑さと旨みがグッと増します。揚げ油はサラダ油です。かりっとするまで揚げたら出来上がりです。
春巻きに包丁をいれると若々しい緑色のスナップエンドウが顔をのぞかせます。茹でられた鞘部分は深みのあるグリーン、将来グリーンピースになる種の部分は少し淡さのある若草色っぽい緑色です。パンチェッタの肉の部分の赤みの強いピンク色とのコントラストが、じつに美しいです。
このワインによく合う春巻きに、テイスティングメンバーが選んだイチオシワインは、アルゼンチンのカロ アルマ マルベックでした。
アルゼンチンはO.I.V.の2009年の世界国別ワイン生産量では第6位の大生産国です。
シャトー ラフィット・ロートシルト を擁するドメーヌ バロン ド ローシルト(DBR)は世界中の銘醸地で個性あるワイン造りを行っています。南米では1988年にチリのロスヴァスコスを買収したのに続き、その後アルゼンチンでもブドウ栽培地の獲得を綿密に検討しました。通常、DBRは、自分たちでブドウを植え、栽培管理し、自分たちでワイン造りを行うのが原則です。ですがDBRのオーナーであるエリック男爵はアルゼンチンにおいてはパートナーと手を組む事を選択しました。アルゼンチンにはボデガス カテナ サパータのニコラス カテナという巨人がいたからです。ニコラス カテナはイギリスのワイン雑誌デキャンター2009年の「マン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。「マン・オブ・ザ・イヤー」は、デキャンター誌がその年にワイン業界に最も貢献をした人を選ぶ、言ってみればワイン業界のMVP賞のようなものです。またボデガス カテナ サパータはロバート パーカー氏から南米で最初に5つ星を与えられたワイナリーでもあります。通常は自前主義を貫くDBRもカテナのような信頼おける相手先ならば一緒にワイン造りをしていける!と、アルゼンチンでのワイン造りをジョイントベンチャーで取り組む事を決意し、出来たのがボデガス カロ社です。本日のイチオシワインのアルマはカロの発売10周年を記念して造られたワインで、アルゼンチンを代表する重要品種マルベックだけで醸しています。アルゼンチンを代表する重要品種マルベックだけで醸しています。ARUMA(アルマ)とは、インカの言葉 <ケチュア語>で「夜の力」の事です。マルベックの畑のある標高950~1400mに広がるアンデス山の麓、その漆黒の夜空やピュアな空気によってもたらされる神秘的ともいえる力に由来しています。自然で豊かな香り立ち、ブルーベリーを思わせる香りとスパイスを連想させる香りがあります。心地よい果実の凝縮感とラフィットらしいエレガントさがあるワインです。
スナップエンドウとパンチェッタの春巻きと合わせると、パンチェッタの脂の甘味とアルマ マルベックの柔らかみのあるタンニンとが良くマッチします。ゴルゴンゾーラのちょっと癖のある独特の香りとアルマの複雑さのある香りとが上手く絡みあっています。スナップエンドウの青々しい風合いとクミンとアルマのスパイシーさも素敵な調和を見せていました。春巻きが「リッチで優雅なおつまみ」に変身したテイスティングでした。