クリスマスシーズンの定番料理というと、やはり鶏でしょうか。この時期のスーパーには鶏のもも肉やチキンの丸焼きが沢山ならびます。海外の市場で、肉屋さんの店頭にある大型のロースターで、鶏がゆっくりと回りながら焼かれているのを見ると、よだれが止まらなくなります。昔は、鶏のもも肉は高級品で、鶏のもも肉が1本丸ごと、自分の前に置かれるだけで、ちょっと、どきどきしたのを覚えています。昭和40年代の始め頃なので、かなり大昔ではありますが・・・・
クリスマスの食卓もどんどん豪華になってきました。ご馳走の演出もかなり出尽くしたのではないでしょうか?家庭で、ぐるぐる回しながら焼くのは、かなり、無理がありますよね。クリスマスの演出のネタに困っている、そんなあなた!!取っておきの技があります!!!塩釜焼きです!!!!
オーブンからテーブルに出すだけで、どよめきが起きること間違い無しです。
ソースは柚子はちみつソースです。ワインスクエアらしく、白ワインたっぷりの絶品ソースです。
オーブンから取り出した丸鶏は小麦色のドームに覆われています。フランス料理のグランドメゾンでメイン料理を運んでくる時の、あの銀色の皿カバーくらいのサイズで、もっと存在感があります。キッチンからリビングに近づいて来るだけで「おーーーー!なんだぁ??」と、なります。テーブルの真ん中に置くときに、劇画チックな擬音が似合いそうな風格があります。「どーーん!」と言うか、「ずずーーーん!!」と言った感じです。更に塩釜を割る儀式が「鏡割り」の風情があります。塩釜が割れると中からハーブの香りと鶏の濃密な香りが立ってきます。
さて、このインパクト抜群の塩釜チキンロースト 柚子はちみつソース添えにテイスティングメンバーが選んだイチオシはサントリー塩尻ワイナリー 塩尻メルロでした。塩尻のメルロは現在(2013年12月)2010年ヴィンテージを主体に販売していますが、バックヴィンテージである2004年も少量販売しています。このワインは2013年国産ワインコンクールであるジャパンワインコンペティションで「欧州系ブドウ部門」の銀賞をいただきました。
グラスに注ぐと熟成を感じさせる色合いです。香りにも熟成による複雑なニュアンスが加わっています。干しプラムなどのドライフルーツ香を思わせる香りや、ココアやキノコ、雨あがりの森に分け入った時のような熟成香が広がります。口当たりはやわらかいが、全体的に力強い味わいで、余韻が長く続く素晴らしいワインです。
丸鶏と合わせると、塩釜によって、ぎゅっと閉じ込められた旨みと塩尻メルロの力強い味わいとが良く調和します。フレッシュハーブから肉に、ほんのりと移った香りと塩尻エリアのメルロによくあらわれる少し植物的な香りとも上手く合っています。
「自然なコクですよね」「肉は断面から旨みが逃げると、言われるけれど、丸鶏はどこも切っていないから、肉汁がどこにも行かないのかなぁ」「さらに、塩釜で覆って、閉じ込めていますからね、味わいが中に中に入っていくんでしょうね」
その美味しい鶏に、この塩尻のメルロは本当に良く合っています。若いヴィンテージだと、力がまっすぐに出すぎて、鶏が負けるところが出てくるのかもしれませんが、今年で10年目を迎える2004年ヴィンテージだからこその「包み込むような調和」がありました。聖夜を飾るにふさわしい素敵なマリアージュでした。