サムゲタンは漢字で書くと参鶏湯で、文字通り、「参」=高麗人参と鶏のスープです。コラーゲンたっぷりの、韓国を代表する薬膳料理です。韓国ではスタミナが付く料理のことを補身料理と呼びますが、まさにサムゲタンは補身料理です。今回は高麗人参を使いませんので、サムゲタン風ではありますが、とても美味しく力がわいてくるようなレシピです!丸鶏のお腹にもち米や松の実や炒めた玉ねぎを詰めて煮込みます。ワインスクエア流に白ワインをたっぷり使います。なんと!二人分で500cc!!飲む分を確保するにはワインは、2本用意したほうが良いかもしれません。ワインたっぷりで煮込む事で、極めてワインとの相性が良くなります。
レシピでは煮込み時間は2時間以上になっています。お時間があれば、3時間くらい煮た方が身が骨から外れやすく、食べ易いです。軟骨も柔らかくなっていて、コンドロイチンも簡単に摂取できます!
お椀によそうと、鶏の良い香りがします。にんにくとローズマリーの香りと絡まって食欲をそそります。スープを飲むと、まさに滋味溢れる味わいです。箸を入れると、ほろりと身離れします。
さて、この丸鶏の白ワイン煮サムゲタン風のイチオシワインとして選ばれたワインはジョルジュ デュブッフ社のボジョレーでした。ボジョレーの帝王と呼ばれるジョルジュ デュブッフ氏は1933年生まれです。小さい頃に父を亡くし兄に育てられ、ブドウ作り、ワイン造りを仕込まれました。ジョルジュは小さい頃から卓越したテイスティング能力を発揮、単に嗅ぎ分けるだけでなく、一度テイスティングしたワインは決して忘れる事がなかったそうです。その後、大きくなってからは、移動式の瓶詰め機を買って瓶詰めを代行する会社を興すかたわら、優秀なワインの造り手のワインをレストランのシェフ達に勧める仕事も始めました。ジョルジュ デュブッフの鼻と舌は正確で、優秀なワインだけを勧めたので、シェフ達からの評価はうなぎのぼり、ワイン仲介業は順調に拡大しました。そうしてデュブッフ社は成長していったのです。
デュブッフ氏は今年で80歳、その今でも「毎日出社は7時半。午前11時半から2時間、一年間にのべ約1万6千種類のワインをテイスティングするのが私の日課」と言っています。デュブッフ氏の理想のボジョレーは、「赤い果実や花の香りが心地よく、味わいは軽やかでフルーティ。一口飲むだけで心が躍りだすような・・・・・。そう、言ってみれば、命の歓びにも似た、そんなワイン」だそうです。
ボジョレーを試飲します。ヴィンテージは2012年。ブルゴーニュの南部は天候に恵まれたとは言えない年でした。グラスに注ぐと、やや深いルビー色、紫のニュアンスを多く持っています。香りはボリューム豊かです。イチゴや赤いベリーを思わせる香り。小さな赤い花を連想させる香りもあります。口に含むと軽やかで瑞々しく、新鮮な果物を口いっぱいに頬張ったような飲み心地です。軽やかで、ある意味ボジョレーらしい出来栄えです。
サムゲタンと合わせます。サムゲタンの鶏の身を口にいれると、しみじみとした鶏の味わいが広がります。おだやかで、じっくりとした旨みです。ボジョレーが口に入ると、その味わいに華やかさが加わる気がします。鶏の味わいに奥行きが出て、体にしみわたって行くような感じがします。
「この組み合わせ!美味しいですねぇ」
「力が沸いてきますね」
「ガメが、軽いだけのブドウじゃないよ!って言っている気がします」
「うん、たしかにガメの旨みをしっかりと感じますね」
「デーツの干し柿のような果実味ともよくマッチしています」
サムゲタンの滋味深さを感じ、エネルギーが充填されるような素敵な組み合わせでした。