いちじくはビワ科の植物で、昔から人間とのかかわりの深い植物です。アダムとイブが恥じらいを知った時に身に纏ったのが、いちじくの葉っぱです。古代エジプトの壁画にもブドウと並び、良く登場する植物です。漢字では無花果と書きます。春、いちじくの木を見ると、小さな緑色のいちじくが付いています。昔の人はこれを見て、花が咲かないのに実が付いたと思って、この文字をあてたのでしょうね。本当は、このいちじくの食べる部分は果実ではなく、花が並んだもので「花序」と呼ばれます。今日はこのいちじくを使ってワインに良く合う絶品サラダを作ります。

今回のレシピは材料を適宜切って混ぜ合わせるだけの料理ですので、簡単です。しかもこれが幅広いワインに良く合うんです！！！このテイスティング実験には16種類のワインを用意しました。厳正な審査の結果、このいちじくと生ハム、ルッコラのマスカルポーネサラダにテイスティングメンバーが選んだイチオシはイタリアのタヴェルネッロランブルスコ ロッソ、少し甘さを持った赤の発泡性ワインでした。

このタヴェルネッロ ランブルスコ ロッソを造っているカヴィロ社は1966年に創業した比較的新しい会社で、農業協同組合の50あまりの醸造所の集合体です。品質の高いワインを手頃な価格で醸すことが出来たので、めきめきと成長し、現在ではイタリアで生産量ナンバーワン（*1）なんと、世界でも10位（*2）に入る躍進ぶりです。沢山売れるには訳があります。カヴィロ社が生まれたのは美食の街エミリア・ロマーニャ州のボローニャに、ほど近い、ファエンツァでした。エミリア・ロマーニャ州はパルマの生ハムやチーズのパルメジャーノレッジャーノも有名ですよね。このワインはランブルスコ種で醸される、甘さを持った微発泡の赤ワインです。ランブルスコの最大の特徴であるフレッシュさ、フルーティさを引き出す丁寧な醸造を行っており、赤いベリーのフルーツを詰め込んだような味わいが特徴です。

いちじくと生ハム、ルッコラのマスカルポーネサラダとランブルスコとあわせると、いちじくの味わいの奥行きが更に深まる感じがします。いちじくの濃い甘さの中には、少し引っかかりがあるじゃないですか。ただ単純に甘さが濃いだけではなく、少し、いがいがっとした味わい・・・・・・「わたしはただ単に甘いだけの普通のベリーじゃないわよっ！」と言っているかのような微妙なニュアンスの部分なんですが、それをランブルスコが旨く包み込みながら、かといって、消し去るわけではなく、より複雑味がある方向に高めてくれます。全体のバランス感も非常に優れています。「生ハムがいっそう美味しく感じられますね。生ハムのしょっぱさとランブルスコの、ほんのりとした甘さが、丁度良い塩梅ですね」「マスカルポーネのなめらかな旨みとランブルスコのしゅわっとする軽い味わいが気持ち良い調和感になっています」「全体のバランス感もダントツに優れていると思います」ワインスクエアの、このワインと料理の相性実験でも、同郷の強みが発揮される事が多いのですが、今回も同郷強し！の結果になりました。

（*1）IMPACT Databank 2008 EDITION 2007年度イタリア国内販売数量より

（*2）IMPACT　MAGAZINE 2008年6月15日号　TOP10 WINE MARKETERS WORDWIDE