ずいぶん涼しくなりましたが、これからもまだまだ暑い日があります。今回のレシピは、いかとパプリカの冷製パスタです。
パプリカはナス科トウガラシ属の植物で、ピーマンの兄弟です。私の子供の頃、ピーマンは緑色をしている物だと思い込んでいました。初めてパプリカを見たときは、その赤い色の鮮やかさと巨大さに驚きました。その後、黄色や橙色のパプリカも流通するようになりました。今日はそのパプリカをしっかり焼いて冷製パスタにします。試食マリアージュ実験の時には230℃のオーブンで30分焼きました。皮が焦げるまで火を入れて皮を剥く事で、イカのねっとりとしたテクスチュアとパプリカの甘みが良く合うようになります。イカはお刺身で食べれるイカなら種類は問いません。赤イカやスルメイカ、スミイカ、どれもとても美味しく出来ます。パプリカとイカを細切りにしてすりおろしたにんにくとオリーブオイルで30分マリネします。パスタを茹でて、冷水で冷やし、パプリカとイカをまぜます。アクセントに炒った松の実とイタパセ、つぶしたレッドペッパーを散らせば完成です。
この冷たく美味い冷製パスタにテイスティングメンバーが選んだイチオシワインはボッラのソアーヴェクラッシコでした。ボッラは今から130年前の1883年にボッラ兄弟により創業されました。1909年にはイタリア国王から金賞をいただきました。第二次世界大戦後アメリカにも輸出されるようになり、アメリカで「ソアーヴェと言えばボッラ」と言われるくらい人気がでました。アメリカであまりにも、沢山売れたために一時、大手バーボンの会社に買収された時期もありました。2009年にイタリアのワイン会社であるGIV(グルッポ イタリアーニ ヴィーニ)社によって買い戻され、イタリア人の手の中に戻ってきました。
GIV社のワイン造りのポリシーは4つ有ります。一つ目は、ワイン造りに関わるすべての人に対する「敬意」です。この「敬意」はぶどうを栽培してくれる農家の方やお客様に対する「敬意」も当然含まれます。2つ目は産地、土地の個性、DOC(原産地呼称統制)の考え方に対して「誠実」であること。3つ目は「真剣さ」です。ボッラの使命はお客様に高品質のワインを届ける事、その事に対し常に真剣である事。最後は「文化」です。地元の農業文化を尊重したワイン造りを行う・・・・・これら4つのポリシーを守りつつ日々品質の高いワインを造るべく努力を続けています。
ボッラのソアーヴェ クラッシコはガルガネーガ種とトレビアーノ種で醸されます。柑橘系を思わせる爽やかな香りと、熟した洋梨や白い花を連想させる香りが豊かです。口に入れると丸みのあるアタックで果実の完熟からくる甘やかな印象があります。
いかとパプリカの冷製パスタと合わせます。パプリカの青々しい香りと良く焼かれた事によって出てくる「甘香ばしい」香りがあります。それと食欲をそそる、にんにくとオリーブオイルの香り・・・・口に運ぶと、冷たく旨みが広がります。良く焼かれたパプリカがとろみを持ち、それに和えられたイカがねっとりと絡みます。冷たく爽やかではあるのですが旨み充分です。ソアーヴェをあわせると、少したっぷりと丸みのあるテクスチュアが良くあっています。ワインサイドにほんのりとした甘みと充実したコクがありますから、お料理に負けていません。「合いますねぇ!!」「さすが、パスタとイタリアワインですね」「松の実が炒られて香ばしくなっているのですが、それがソアーヴェの香りと良くマッチしています」
ボッラが持っているほんのりとした苦味も冷製パスタの味わいを引き締めていました。また、ピンクペッパーとのコンビネーションも楽しかったです。
参加者の3/4がイチオシに押す圧倒的イチオシに選ばれたこのワイン、ボッラのソアーヴェの実力をまざまざと見せ付けたマリアージュでした。