ラザニアは寒い季節の料理のイメージがありますが、夏野菜で作っても、とっても美味しいです。ラザニアと言った場合、平たい板状のパスタであるラザニア本体を指す場合とそのラザニアで使った料理を指す場合もあり、両方ともラザニアと呼ばれます。
少し深さのある容器に、ミートソース、ラザニア、チーズを何層かに積み重ねて、一番上のベシャメルソースに焼き色がつくようにオーブンで焼きます。
材料の品目数が多くて、工程も長いのですが、ミートソースとベシャメルソースに市販品を使えば、ぐっとお手軽料理になります。
夏野菜は、なす、ズッキーニ、ヤングコーンを使いましたが、なにも、この3アイテムに限る必要は無くお好きな夏野菜、かぼちゃでもオクラでもパプリカでも何でも良いと思います。
夏のラザニアのポイントはクミンです。2人前で小さじ2ですから、ちょっと多めに使いました。ミートソースを作る最初のにんにくを炒めるところでクミンも良く炒めます。市販のミートソースを使われる場合はクミンだけ少し強めに炒めて香りをだしたほうが良いと思います。器にバターを塗って、ラザニア、ミートソース、ベシャメル、野菜、モッツアレラと並べていきます。バターを散らして、あとはオーブンに入れれば出来るので簡単といえば簡単です。
綺麗に焼き色が付くと出来上がりです。
この、夏に美味しいラザニアにテースティングメンバーが選んだイチオシワインは、日本のロゼ、ジャパンプレミアム マスカット・ベーリーA ロゼでした。マスカット・ベーリーAは今年の6月にOIV(国際ブドウ・ワイン機構)の登録になりました。日本の品種としては甲州に続いて2品種目です!これでEU諸国に、ラベルにマスカット・ベーリーAの名前を冠して輸出する道が開けました。
マスカット・ベーリーAは川上善兵衛が1927年に交配した品種です。川上善兵衛は越後高田の大地主の六代目として生まれました。「屋敷から駅まで他人の土地を歩かずに行ける」と言われるほどの大地主だったそうです。彼は小作人達が農閑期に出稼ぎに出て行かざるを得ないのを見て、「雪の多い冬にも作業のある仕事」を模索しました。更に「国民の基本食料である米を作る田んぼをつぶさずに出来る仕事」である必要がありました。彼が見つけた答えはワイン造りだったのです。痩せた斜面が適地のブドウ造りは善兵衛にとって、理想の仕事でした。1890年、自らクワを手に名園とうたわれた川上家の庭園を壊しブドウ園を作り始めました。国内外からブドウの苗木を買い求め、作業にあたる日当を農民たちに支払うために借金を重ね、それを返すために田畑を切り売りしていました。最初は欧州系のブドウを植えました。雪が多く夏場の降水量も多い越後高田の地では欧州系はことごとく失敗しました。米国系のラブラスカは育ちはしましたが、ワインにしたときに美味しくありませんでした。そこで善兵衛は日本の気候風土にあって、かつ、美味しいワインが造れるブドウを作り出す決意をしました。1922年の事でした。以来に20年あまりの間に一万種以上の交配を行いました。その間に借金が増え、先祖がら引き継いだ田畑は全部売り払い、破産同然だったそうです。その善兵衛の最高傑作がマスカット・ベーリーAなのです。
もぎたてのぶどうをほおばったような、フルーティで華やかな香りとフレッシュな味わいが印象的です。爽やかな酸味が心地よく、果実感たっぷりのやや甘口のロゼワインです。マスAロゼの柔らかみのある味わいとベシャメルソースが良く合います。フレッシュなトマトの酸味とワインの甘みが絶妙です。ミートソースにしっかりと使われているクミンのタッチとマスカット・ベーリーAのハーブの印象がしっくりときます。
「夏野菜に合いますね!」
「ヤングコーンの素朴な風合いと、マスAの少し青いニュアンスのある香りが良く合っています」「なすにも、とっても良く合ってますよ」
「ミートソースって少し甘みを感じるワインのほうが良く合いますね」
太陽の力あふれる夏野菜と日本生まれのマスカット・ベーリーAのロゼの幸せなマリアージュでした。