貝類は春に美味しいものが多いですが、なかでも、あさりはとりわけ美味な貝です。
あさりはマルスダレガイ目マルスダレガイ科の貝です。マルスダレガイ目はお馴染みの貝が多く青柳やミル貝、北寄貝、白貝、蜆にマテ貝など、市場で良く見かける貝がオンパレードです。あさりは日本では北は北海道、南は沖縄まで広く分布しています。日本のみならず朝鮮半島からフィリピンにかけて生息しているようです。
今回は、そのあさりをタイ料理でいただきます。
フライパンににんにくと鷹の爪をいれ弱火で炒めて、香りがでたらナムプリックパオを加えます。ナムプリックパオは干しえびと玉ねぎのチャツネみたいなものです。ナムプリックパオがない場合は、小口切りした鷹の爪でにんにくと弱火で香りと辛さをだし、ナンプラーと一緒にXO醤またはオイスターソースを大さじ1を加えます。
これで大さじ3-4杯分のナムプリックパオが出来上がりです。
ナムプリックパオを加えて炒めると干しえびの良い香りがしてきます。あさりを入れてふたをします。火がとおってくると、あさりがパカリパカリと口を開けます。中からはみ出さんばかりのぷっくりとした身が見えます。ナンプラーと牛乳を入れて、バジルを散らしたら出来上がりです。
この、タイ料理のあさりとバジルのピリ辛炒めにテースティングメンバーが選んだイチオシワインはフレシネのミーアの白でした。醸造長であるグロリア コレルの「ぶどう畑で完熟したぶどうかじった時の味わいをワインで表現したい」という思いで醸されたワインです。カバの3品種(マカベオ、チャレロ、パレリャーダ)にモスカート(マスカット)をプラス、甘く華やかな香りとほんの少し甘さを感じさせる、親しみやすいワインです。
あさりと合わせます。清々しいバジルの香りが華やかです。あさりをかじると潮の香りを貝の旨みが口にひろがります。ナムプリックパオの干しえびの旨みも加わって複雑さやコクが2倍にも3倍にも感じられます。そのうしろから、鷹の爪の辛さがひりり、ひりり、と、迫ってきます。
ミーアを合わせると、ミーアのふっくらとした厚みとあさりの旨みのボリューム感とがちょうどぴったりときます。貝の旨みが、火をいれられる事で更に芳醇になっています。そのボリューム感のある旨みにワインが負けていません。「バランス良いですね」「貝と聞くと、もっと軽い辛口を勧めてしまいがちですが、このタイ料理のあさりはワインサイドに厚みがないと調和がとれませんね」
「辛さも上手く押さえ込んでくれています」そんなに激しく辛い料理では無いのですが、何口も続けて食べると辛さが降り積もる感じで増していきます。ミーアを飲むとさらりとすんなり辛さを打ち消してくれました。タイ料理とミーアの素敵なマリアージュでした。