クラムチャウダーはアメリカ料理です。東海岸のニューイングランドの料理だそうです。牛乳仕立ての白いクラムチャウダーとトマトベースの赤いクラムチャウダーと2パターンありますが、日本では圧倒的に白いクラムチャウダーが有名です。主素材はクラムです。クラムはハマグリと翻訳される事が多いのですが、本場のクラムは日本のハマグリとはちょっと違います。日本のハマグリの表面がすべすべなのに対してクラムには同心円状のぎざぎざがあり大分外見が異なります。和名はホンビノス。ビノスはVenusで美の女神ヴィーナスの意味です。実は最近、東京湾でも大繁殖をし始めているようで、築地市場でもちょくちょく見かけます。クラムチャウダーになる美味しい貝なのですが、プロの魚屋さんにもあまり馴染みの無い貝なので、非常に安い価格で取引されています。大きさにもよりますが、割と大きなものでも㎏あたり500円程度で、アサリの半値くらいですね。
今回のレシピではホンビノスが手に入らなかったので、アサリのむき身を使いましたが、もしホンビノスが手に入れば,より本場の味わいに近づきます。
ベーコン、玉ねぎ、セロリ、じゃがいもをバターで炒めます。ベーコンの燻香が立ち昇ります。小麦粉も良く炒め白ワインでのばしていきます。あさりと牛乳をいれてじゃがいもが柔らかくなればクラムチャウダーの出来上がりです。これだけでもとっても美味しいのですが、今回は更に凝ります。パイ生地で蓋をしてオーブンで焼いて、ポットパイにします。この一手間で、とっても豪華なメインの一皿が出来上がります。オーブンの扉を開けると、バターの良い香りがしてきます。
パイ生地のドームにスプーンを入れると、さくり、さくり、と焦げた生地が破れてクラムチャウダーから湯気が立ちます。
「素敵ですね・・・・・・」
「パイで覆われたお皿って、普通じゃないですよね」
「凄い存在感ですよ」
「こんな豪華な料理を自分で作る、という発想がありませんでした」
このクラムチャウダーにテースティングメンバーが選んだイチオシは登美の丘のシャルドネでした。登美の丘ワイナリーは1909年開園、今年で104年目を迎える伝統あるワイナリーです。南に向いた良い斜面にあり、丘を登って行くと美しい富士山を望む、まさに登って美しい=登美 の丘なのです。
登美の丘のシャルドネは自園産のシャルドネを100%使用しました。徹底した収量制限により、小粒で果実香に優れた完熟ぶどうを育てます。凝縮した果実味とぶどうの個性に応じた樽香のバランスをとるため、 一部を約12ヶ月熟成 (樽熟成64%、タンク熟成36%)します、更に、旨みを引き出すため、シュールリーもします。完熟したりんごを思わせる香りとフローラルな香りがあります。口に含むとフレッシュな第一印象です。ふくらみと、やわらかさを感じ、程よい酸味が広がるバランスがよいワインです。
クラムチャウダーのポットパイと合わせると、乳系の豊かさと登美の丘のシャルドネの厚みとが良く合います。アサリの身から来る「しみじみとした滋味」とワインの余韻とがなんとも言えない心地よさを醸し出します。
「クラムチャウダーのバターのニュアンスとワインの香りが良く合っています」
「チャウダーもだけどパイ生地の香ばしさとも絶妙ですよ!」
「樽由来の香りなんですかね?クリームっぽいワインの香りが共鳴する感じですね」
寒い夜に心まで暖まるクラムチャウダーのポットパイと登美の丘のシャルドネとのコンビネーションを是非是非お試しくださいませ。