骨に近い肉って美味しいですよね!獣に限らず鳥もそうだと思います。から揚げでも水炊きでも骨付きの肉だと味が一段階上がる気がするのは私だけでしょうか?海外の肉屋さんには骨付きの肉が多く並んでいます。アメリカのスーパーに行くとTボーンステーキは肉売り場の一番良い位置に置いてあるように思えます。牛の肋部分も肋骨何本か固まりで売られています。フランスの市場でも牛も豚も羊も骨付きの状態でも買えます。でも、残念ながら、日本では骨の付いた肉はそんなに多くは見かけません。鶏の腿肉でさえ、クリスマスシーズンを除くと骨を外して売られている事が多いです。そういった中で安定的に骨付きで楽しむことが出来るのが、この豚のスペアリブです。今回はそのスペアリブをタイ料理風でいただきます。ドンと豪華な料理ですが漬け込み時間を除くと30分くらいで出来る、手間からすると、お手軽な料理です。
スペアリブに下味をつける為に漬け込みます。今回の味付けのポイントはレモングラスとナンプラーです。レモングラスはトムヤンクンに入っている稲の葉っぱみたいな真っすぐの葉脈の葉です。フレッシュのレモングラスはタイ料理の食材を取り扱う通信販売でも当然買えますし、最近では大手のスパイス会社がフレッシュをパックにして販売していますので大型のスーパーでは見かけることもあります。
レモングラスをみじん切りにしてにんにくとナンプラー、塩、砂糖、白胡椒と白ワインを合わせて揉み込みます。漬け時間は最低1時間、一晩つけても大丈夫です。あとは220度のオーブンで20分ほど焼けば出来上がりです。
レモングラスの爽やかな香りがしてきます。まさに果実のレモンを連想させる香りと緑の印象のある香りです。豚肉の焦げた食欲をそそる香りとナンプラーのコクを感じさせる香りもしてきます。
この暑い時期にいかにも美味しそうなレモングラス風味のスペアリブにテースティングメンバーが選んだイチオシワインは今年9月に新発売のフレシネ ミーアの赤でした。Mia(ミーア)とはスペイン語で'私のもの'という意味なんです。女性醸造家のグロリア コレルさんが、もっともっと多くの人に「自分のお気に入りのワイン」として親しまれるようなワインを造ろう。そのためには「本当にグロリア自身が飲みたい味のワイン」で無ければならない、と決意して醸したワインです。グロリアによると、その理想の姿とはぶどう畑で完熟したぶどうかじった時の味わい、だそうです。
グラスに注ぐと非常に濃い色です。紫を多く含んだ濃い赤です。グラスからふんわりとフルーティな香りが漂ってきます。グラスを回し、鼻を近づけ香りを嗅ぎます。深みのある色の濃いチェリーやプラムを思わせる豊かな香りがしてきます。口に含むと濃厚な果実味とぶどう本来の果汁が持つ甘さが特長的です。テンプラニーリョ100%で、樽熟成をあえてせず、熟した果実の魅力そのままの、ふくよかで柔らかみのあるワインです。
「うわ!飲みやすいですね」
「リッチで濃厚な赤なのにかなり甘いんですね」
「この味こそがグロリアさんの造りたかった味なんですね」
スペアリブとあわせます。スイートチリソースをちょっぴりつけてスペアリブをかじります。じゅわっと肉汁が口の中に広がります。ミーアと合わせます。ソースの甘辛さとミーアのリッチな果実味と甘さが良く調和します。豚の脂もミーアのテンプラニーリョの持つ豊富なタンニン分とがマリアージュして甘さに転換します。
「美味しいー!!」
「すごく良く合いますね」
「ぶどうそのものの果実味と豚がすごくマッチしますね」
豚は果実と良く合います。賛否はあると思いますが、酢豚にパイナップルが入っている、あのタッチです。
スペイン人の女性醸造家が造りたかった味わいがタイ料理と絶妙に合った素敵なマリアージュでした。