今回のお料理は、暑くなってきたこの時期にぴったりの冷しゃぶです。それもグリーンのニュアンスを効かせたバーニャカウダソースです。バーニャカウダの「バーニャ」は北イタリアの方言で「ソース」、「カウダ」は「熱い」の意味だそうです。「熱いソース」のお料理を冷たくするとは何事か、とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、これが驚くほど美味しく、また、ワインに良く合うのです。
もともとのバーニャカウダはピエモンテの料理で、バーニャカウダ専用の小さなコンロで暖めて溶かしたソースをセロリやパプリカ、ジャガイモなどにつけて食べます。今回のレシピは冷たくしたときに美味しいようにワインスクエア流にアレンジしてあります。
まず特製のハーブソースを作ります。このハーブソースは冷蔵庫に入れておくと一か月以上保存可能です。野菜だけでなく鶏肉や豚肉などとあわせても美味しい使い勝手の良いソースです。エクストラバージンをベースにパセリ、バジル、ディルをたっぷり漬け込みます。そのハーブソースを使ってバーニャカウダ風のソースを作ります。ハーブソースにアンチョビとすり下ろしのにんにくと生クリームをいれて泡だて器で固くなるまで泡立てます。
しゃぶしゃぶは豚肉を使います。今回の銘柄は「東京X」を使いました。豚肉と野菜を茹でて冷めたらバーニャカウダ風のソースと合わせます。
バジルやディルなどのハーブの香りとにんにくの香りが心地良く食欲をそそります。
さて、この涼しげで爽やかな冷しゃぶバーニャカウダ風ハーブソースにテースティングメンバーが選んだイチオシワインはジャパンプレミアム 甲州でした。千年以上の栽培の歴史を持つとされる日本固有の白ワイン用品種甲州。最近世界的にも高く評価されています。このジャパンプレミアム甲州は山梨県産の甲州を100%使用しました。果汁を凍結し味わいを凝縮したワインと、シュールリーで仕上げたワインとを絶妙なバランスでブレンドしました。香りのボリューム感はそんなに大きくありませんが和柑橘を感じる上品な香りで。すっきりとした辛口のワインです。
料理と合わせます。豚を一切れ口にいれて甲州をグラスを手に取ると、柑橘のニュアンスが強まっているのが判ります。口のなかで、豚肉の旨味と生クリームの芳醇さにすっと寄り添い、さらりとリフレッシュしてくれます。
「爽やかですね」「口のなかがさっぱりします」「柑橘、それも日本のイメージのある柑橘ですよね・・・・・金柑かなぁ・・・・」
アンチョビと喧嘩する感じも全くありません。
「オリーブオイルと生クリームでかなり油分の多い料理だから、もっとコクのあるタイプのほうが合わせやすいかと思いましたが、甲州はぴったりですね」
控えめなんだけれど、きちんと豚肉もバーニャカウダソースも引き立ててくれる。まるで清楚な日本美人思わせるようなワインでした。日本の葡萄「甲州」の奥の深さを感じたテースティングでした。