桜の季節の魚と言えば、何と言っても鯛です。産卵期を迎えて鯛が美味しくなる季節と桜の開花の時期が重なっているため、この時期の鯛をさして、桜鯛と呼ばれる事もあります。鯛はお正月や結納などのお祝い事には欠かせない魚です。今回はその鯛を、今、話題の塩麹を使ってマリネにします。塩麹は比較的新しい調味料ですよね。同じような塩麹と言う名称で販売されていても、造り手によって、かなり味わいが異なります。皆様も、いろいろなメーカーの塩麹を試してみて、自分好みの味わいの塩麹を探されると良いと思います。
おろした鯛に塩麹を塗って一晩、冷蔵庫で馴染まします。今回は半日でしたが、塩味のやさしいタイプの塩麹だと2日くらい漬けた方が深みが出る場合もあります。付け合せの野菜は何でも良いのですが、今回は春らしく、そして爽やかさを演出するために「うど」と「グレープフルーツ」と「エンダイブ」を使いました。塩麹の他の調味料は塩・こしょうとオリーブオイルです。シンプルでしょ??
鯛をそぎ切りにしてエンダイブの上に並べます。鯛の色合いがとても美しいです。うどやグレープフルーツ、アクセントにミントも散らして出来上がりです。漬け込む時間は掛かりますが、仕上げの調理時間は短いです。
この春の息吹の鯛の塩麹マリネとグレープフルーツにテースティングメンバーが選んだイチオシワインはフランスを代表するスパークリングワインの生産者、C.F.G.V.社が醸すデュック ド パリ ブリュットでした。
グラスに注ぐとキメの細かい泡立ちです。レモンやライムのような爽やかさを感じさせる香りがあります。味わいはドライで、出しゃばらない繊細なタイプのスパークリングワインです。鯛の塩麹マリネと合わせます。
「!!」
デュック ド パリ ブリュットの表情が一変しました!
おとなしくて控えめだった香りが主張のある香りに変化したように感じられました。パングリエのような酵母由来の香りを強めに感じます。その他の香りも強調されるようで、香り全体のボリューム感が上がりました。奥行きや複雑さも感じます。
「驚きました!!」「別のスパークリングワインを飲んでいるようです」「以前、鯛を合わせた時にはこんな変化はなかったので、塩麹の影響なんでしょうか?」「面白い変化ですね」鯛の繊細な味わいは活かしつつ、塩麹の旨みを上手に付け加えている感じがしました。グレープフルーツの味わいや、うどとの相性もとても良く、一同納得のテースティングでした。