わかさぎで連想するのは氷の上に穴を空けての穴釣りでしょうか・・・
穴釣りで有名なのは長野県では松原湖や霊前時湖 岩手県だと岩洞湖、群馬県は榛名湖、北海道では南富良野町の金山湖や岩見沢市の雁里沼なども有名です。諏訪湖では一時期、わかさぎの資源保護のため全面禁漁されたこともあったようですが、現在では全面禁漁は解かれています。厳寒の時期に猛烈な寒さの氷の上に釣り人たちを誘う魅力のひとつはわかさぎの美味しさなのでしょうね。
わかさぎはキュウリウオ科の魚です。親戚にはシシャモやカラフトシシャモなどがいます。
わかさぎは公魚とも書きます。それは徳川11代将軍徳川家斉が霞ヶ浦のわかさぎを愛し、公儀御用魚としていたからだと言われています。淡白で美味しい魚です。天ぷらや、から揚げ、塩焼きや甘露煮などにして食べられます。
今回はそのわかさぎをハーブフリットにします。ハーブはフレッシュタイムの葉を使います。レシピの工程を見ていただいてもお判りの通り、簡単です。
そして何よりワインに良く合います!
白ワインもロゼワインにも、どのワインにも美味しく合います。
ただ、テースティングメンバーの意見を集約しているうちに、ある事に気がつきました。どのワインにも万能に合わせているように見えるのですが、合っているポイントが微妙に違っているのです。ですからテースティングメンバーにベストワインをひとつに絞り込んでもらうと、なんと、意見がばらばらになったのです。長い間、ワインスクエアの料理とワインのマリアージュ実験をやっていますが、結構珍しいパターンなんですよ。
ベストワンだけだとイチオシワインが決まらないので、ベストワイン、イチオシ候補、二番手グループを含めて集計した結果、わかさぎのハーブフリットのイチオシに決まったのは、チリのスパークリングワイン ビニャ マイポ スパークリング ブリュットでした。
ビニャ マイポはチリ第4位のワインブランドです。葡萄の理想郷チリの名醸地マイポ ヴァレーにワイナリーは位置します。シャルドネ、リースリング、シュナン・ブランを、ほぼ3分の1づつブレンドしシャルマ法で丁寧に醸造しました。ビニャ マイポ スパークリング ブリュットの香りを嗅ぐと、青リンゴや柑橘系を思わせる爽やかな香りがあります。泡はキメ細かく、爽やかな辛口です。
わかさぎのハーブフリットがカラリと揚がりました。小麦粉と片栗粉の衣が少しこんがりと黄色味を帯びています。その下に白銀を纏った透明感のある身があります。繊細で高貴な乙女の風情です。衣にタイムの小さな葉が散らばり、和服の柄模様のようです。箸でつまんで鼻に近づけるとタイムの良い香りがしてきます。バージンオイルが加熱されたオリーブそのものの香りと、こんがり揚がった衣の食欲をそそる香りもしてきます。
齧ります。
さくっ、ほろっと言う感じで口のなかでわかさぎが解けます。骨は気になりません。淡白ながら繊細で味わい深い旨みがあります。改めてビニャ マイポ スパークリング ブリュットの香りを嗅ぎます。少し香りの構造に変化があります。ワインだけを嗅いだときより、緑のニュアンスを強く感じます。
ワインを口に入れると、「!」
合います!!
わかさぎのフリットにぎゅっとレモンを絞ったような爽やかで引き締まった味わいに感じられます。「繊細さが際立ちます」「わかさぎの身のほのかな甘みが引き立ちますね」「タイムの多い部分を食べるとマイポ スパークリングの清々しさが強調される感じがします」「自分で氷の上で釣って食べたらもっともっと美味しいでしょうね」
厳寒期の冬の楽しみを教えてくれたマリアージュでした。