牛スジ肉はかつては本当に安い食材でした。使い切れずに廃棄されることも多かったようで只同然の値段だったものでした。昨今のコラーゲンブームでスジ肉は引く手あまたになり値段が上がったのはちょっと残念です。とは言え牛肉の他の部位に比べればまだまだぐっとお安いです。この牛スジ肉、まさにコラーゲンの固まりです。サプリでコラーゲンを買うと結構高いし美味しくもありません。美容と健康に注意を払っていらっしゃる方は是非牛スジ肉料理に注目してください。 今日はこの牛スジ肉をじっくり、ことこと、赤ワインで煮込んでいきます。最初の煮込みに3-4時間、仕上げの煮込みに1-2時間、合計6時間程度。時間はかかりますが面倒ではありません。煮込みに使う赤ワインは出来れば濃厚なフルボディタイプがお勧めです。今回はチリのメルロを使用しました。煮込みが完了したら、マッシュルームをバターで炒めます。きのこの素敵な香りが広がります。仕上げにパセリを散らせば赤ワインに抜群に合う牛スジ肉の赤ワイン煮の完成です。 ほかほかと立ち昇る湯気があったかそうです。スジの臭みはまったくありません。 この牛スジ肉の赤ワイン煮にテースティングメンバーが選んだイチオシワインはサンタ カロリーナ メルロ レセルヴァでした。外観はとても濃いです。芯に黒さを持った濃い赤紫色です。ヴィンテージは2008年、グラスの縁まで色素がきています。「若々しい色ですね」「スワリング(グラスを回してワインをグラスの壁に付ける)するとくっきりと脚が出ます」脚とは「窓」や「涙」とも呼ばれ、グラスの縁に付いたワインの上端からグラスの壁面を伝うようにワインが降りて来る事をさします。アルコール度数や糖度が高いと脚はくっきりと出ます。このサンタ カロリーナメルロは残糖はほとんどありませんが太陽の光を一杯に浴びてグリセリン分が多く含まれる為に脚がくっきりと見えます。香りのボリュームもたっぷりとあります。黒いベリー、カシスやブラックチェリーを連想させる香りやちょっとココアっぽいイメージもあります。華やかなフレンチオークの香りもアクセントになっています。口にいれるとふっくらとして果実味たっぷりです。まあるい感じの口当たりでタンニン分はしっかりとしているのですが気になりません。 牛スジ肉の赤ワイン煮を口に運びます。まずメインの素材である牛スジから食するのがスジというものでしょう♪ とろりとしたスジの舌触りと濃密な煮込み汁の味わいが口に広がります。ここでサンタ カロリーナ メルロ レセルヴァを一口飲みます。スジ煮込みのねっとりとしたコクと旨みがふくらみのあるメルロと出会って更に奥行きが増す感じです。煮込みに溶け込んだハーブとスパイスがメルロのスパイシーと呼び合うようです。「煮込みもワインもどちらも美味しくなる感じですね」「赤ワインはどれも美味しいんですけれど、このメルロは段違いの美味しさですね」「煮込みの余韻も長いのですが、メルロも丁度同じくらいに長くて、ずーーーーっと共鳴しあっている気がします」「サンタカロニーナが濃くて、ちょっとねっとりとしたテクスチュアーなので、とろみのある料理に良く合います」 丁寧に煮込んだワインに良く合う寒い季節にぴったりのご馳走、是非お試しください。