今日はグラタンです。「残暑厳しいのにグラタンかよ!!」という皆さんの突っ込みが聞こえてきそうです。決して「あっちっち」のグラタンではありません。濃厚ではありますが、暑苦しくは無い、秋なすのグラタンです。なすは東洋医学では「冷やす」作用が有ると言われており、火傷の民間治療に使われる事も有るそうです。なすの美しい色はアントシアン系色素で、その名もナスニン。最近の研究ではガンなどの細胞へ変異を抑える作用が有るという結果もでているそうです。
主材料にもうひとつ、新鮮なホタテの貝柱を使います。たっぷりの生クリームとパルメジャーノレッジャーノもたっぷりと使います。
さて、この夏も美味しいグラタンに一番合うとテースティングメンバーが選んだワインはチリのロス ヴァスコス シャルドネでした。皆様もご存知のとおりチリはぶどうの宿敵フィロキセラの居ない国です。また、ぶどうの花が咲いてから収穫まで一回も雨が振らない事がよくあるくらい、お天気が続きます。日照量は申し分なく豊富です。乾燥しているので病気そのものが余り有りません。強い日差しのおかげで昼間は気温がぐんぐん上がります。夜は目の前を南極からの寒流が流れているので気温が見る見るうちに下がり、一日の寒暖の差が20度位もあります。この寒暖の差が生き生きとした酸をぶどうに残してくれるのです。
ロス ヴァスコス シャルドネのグラスを手にとってワインを見詰めます。キラキラと輝いています。緑を含んだ黄色でほんのり金色のニュアンスもあります。グラスから良い香りがしてきます。蜜入りリンゴやトロピカルフルーツを思わせる香りと爽やかな柑橘系を連想させる香りのハーモニーが素晴らしいです。思わず口に入れると丸くたっぷりとした充実感と瑞々しい酸があります。
さて、ホタテとの相性を見てみます。ホタテをひと齧りします。ホタテのコクと旨みが口に広がります。ロス ヴァスコス シャルドネを口に入れるとバターっぽい乳の味わいが強調されます。ホタテ単独よりパルメジャーノの旨みをより強く感じます。
「美味しいですね」「生クリームたっぷりのルーとリッチシャルドネのコンビネーションは鉄板の組み合わせですね」
次になすを食べてみます。よく火の通ったなすからジューシーな野菜汁があふれて来ます。ロス ヴァスコスを合わせるとシャルドネの果実たっぷりだった香りの中からハーブが顔をのぞかせます。「複雑になりました」「うん、奥行きが出るんだね」「トレヴィスを一緒に食べると更に大人の雰囲気ですよ」ほろ苦ささが大人の愉しみを醸しだします。
リッチなシャルドネによく合うホタテとなすのグラタン、是非お試しください。