肉で一番美味しいのは、何と言っても、骨のそばの肉です。西欧では骨付肉をよく食べます。子羊やTボーンステーキはもちろん、お肉屋さんにはいろいろな部位の骨付肉が売られています。味そのものの美味しさもさる事ながら、手で骨を持ってかぶりつく豪快さが「あー肉食ってる!!!!」という満足感に繋がってきます。
今日はそのスペアリブをフライパンで焼きます。脂が焦げると、ふわっと獣っぽい豚の良い香りがしてきます。ソースを作ります。蜂蜜とマスタードを使います。ポイントは蜂蜜を少し煮立たせて、軽く焦がす所です。蜜の香りが変わります。花の、華やかだけれど、ある意味シンプルな香りが、甘く少し濃密さ持った複雑な香りに変わります。
このスペアリブにテースティングメンバーが選んだイチオシはガロ ファミリー ヴィンヤード カベルネ・ソーヴィニヨンでした。カリフォルニアの太陽を一杯あびて、健やかに熟した葡萄から醸したワインです。スワリング(香りを立たせるために、グラスを軽く揺する)すると濃厚な香りが昇ってきます。ブルーベリーやカシスなどの色の濃いベリーを鍋に入れてジャムにしていくときのあの甘い香りを思わせます。口に入れると、たっぷりとした印象です。リッチで力強いワインです。タンニンはしっかりと有りますが、豊かな果実味があるので、渋みをあまり感じさせません。スペアリブを食べてガロ ファミリー ヴィンヤードを鼻に近づけると、甘い香りがお互いを高め合っている感じがします。「甘くふくらみますね」「蜂蜜がポイントなんでしょうかね?」「それよりもベリーの印象が強いですよ」「ワインが口にはいると更にベリーのニュアンスが強くなりますね」
「旨いですね」「ソースの甘さよりも豚自身の脂の甘さを強く感じます」「ガロのタンニンとマリアージュしているんですね」
蜂蜜と、脂とタンニンがマリアージュした甘さの競演とスペアリブの赤身の濃厚なコクとが抜群のバランス感を醸し出している楽しい組み合わせでした。