ハヤシライスと聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?わたしは大昔のCM!南利明さんの「ハヤシもあるでよ~」です。ハヤシライスと聞くだけで、あの笑顔とコミカルな動きを思い出してしまいます。そしてデミグラスソースがしっかり利いたハヤシライスの味わいを思い出して口の中はパブロフの犬状態、すぐに作りたくなってしまいます。デミグラスソースはデミ グラス=半分に煮詰めるソースです。最初からつくると時間がかかりますので今日はデミグラスの缶詰を使います。そして赤ワインをタップリ使います。具材はおなじみの牛肉と玉ねぎ、それにセロリを薄切りにして使います。隠し味にしょうゆを使うのがポイントです。ライスは白ご飯ではありません。本体に使ったセロリの葉を使ってセロリライスにします。葉っぱも使うなんてエコですねぇ。
セロリライスを型にいれてお洒落に盛り付けます。デミグラスの香りがたまりません。心引かれる良い香りです。
さてこの赤ワインハヤシライスにテースティングメンバーが選んだイチオシはカステル社が南仏で醸したヴァン ド ペイ ドックのメルロでした。紫を多く含んだ美しい色。甘く華やかな香り立ちでスミレやアイリス(菖蒲)などの紫系の花を連想させる香りがあります。ふくよかで、ぎゅっと詰まった凝縮感があります。
赤ワインハヤシライスのルーをすくって鼻に近づけます。牛肉などの具材の香りとデミグラスソースが混ざり合った香りがしてきます。赤ワインをタップリとしょうゆを隠し味に使っていますが、単体では香ってきません。渾然一体となって溶け込んでいるんですね。18種類のワインを用意して飲み比べていくとセロリの香りを強調するワインやスパイシーさを強調するワイン、うまくまとめるワイン、と、それぞれ活躍する仕方が違いました。カステル メルロはセロリの香りを穏やかに和らげて調和をもたらすタイプでした。
「ルーのコクに負けませんね」「牛の脂とメルロのきめ細かいタンニンが良く合います」「ルーがますます甘く感じます」
動物性脂肪とタンニンのマリアージュがはっきりと感じられます。
「ルーの穏やかなスパイスがきちんと主張してくる気がします」
「セロリの青っぽい香りが気になりませんね」セロリを強調するパターンではなく穏やかにする感じがします。「ルーが掛ったご飯とも良く合います」おしょうゆが仲を取り持つのか、カステル メルロとご飯も実に良く会います。
南仏の太陽を一杯に浴びたカステル メルロは、日本産まれの煮込み料理、ハヤシライスとも相性抜群だ!と納得したテースティングでした。