ちょっと前までは知る人ぞ知る料理だったバーニャカウダ、最近では専用コンロも市販されていてかなり浸透してきた感があります。バーニャカウダの味の骨格はアンチョビ、皆様も良くご存知のイワシの発酵食品です。もともとアンチョビはカタクチイワシなどの総称ですが日本では塩漬けにして発酵させたものを指す場合が多いですね。ヨーロッパでは良く使われる食材ですが意外にワインと相性が悪いときがあったりします。
牛乳ににんにくを入れて火を入れていきます。じんわり、にんにくの良い香りがしてきます。アンチョビが入ると独特の香りが立ちます。ちょっとクセがある、それでいて食欲をそそる香りです。 オクラを手に取りバーニャカウダをちょっとつけてかじります。オクラはひとゆでされて少しだけ柔らかくなっています。緑のニュアンス、種の美味しい渋み、それにバーニャカウダのコクと旨みが絡みつきます。
さてこのバーニャカウダにテースティングメンバーが選んだイチオシはチリのデュアルセパージュワイン、ビニャ マイポ ソーヴィニヨン・ブラン/シャルドネでした。
グラスを鼻に近づけると果物の香りがしてきます。ひとつは柑橘系、レモンやライムを連想させる爽やかな香り!もうひとつは蜜入りリンゴのような良く熟した甘い香りです。
オクラのバーニャカウダを食べてもう一度嗅ぐと、おやおや野菜を思わせる清々しくて力のある香りがしてくるではありませんか!!
「最初はそんなに強く感じなかったけれどオクラをかじるとソーヴィニヨンブランの個性が強調されるんですね」「アスパラで合わせるともっと出ますね」
そうなんです、食べ物と出会うと隠れていた個性が顔をのぞかせるんですね。アンチョビのコクのある旨みとも良く調和しています。
「ベビーコーンでやるとシャルドネが強く出てきますね」
確かに完熟リンゴを思わせる部分が前面に出てくる感じがいたします。
単一品種でなくソーヴィニヨン・ブランとシャルドネのデュアルセパージュならではの楽しみを実感させてくれたテースティングでした。