写真をご覧ください。ちょっと見難いのですが紙包み焼きです。普通に魚をグリエするとたとえ高級素材を使っていてもお客様料理にはなかなか見えません。器に凝っても素材に凝ってもテーブルに出したときにお客様から「なんだ、焼き魚か・・・」のオーラが伝わってきます。ところが紙包み焼きにしてお出しすると「お!なんだろう??」の、ちょっとした驚き感があります。紙を開いていくときのわくわく感、神秘のヴェールを自らの手で剥いでいく悦びがあるのでしょうかね、一段も二段も上等な料理に思えてきます。
紙包み焼きのメリットがもうひとつあります。下拵えさえ済ませておけばお客様が来られてからはオーブンに放り込むだけで完成です。自宅でのパーティーの時にホストが料理人を兼ねていると、なかなか会話に参加出来ない事がよくあります。ホスト(料理人)がばたばたしているとお客様も落ち着いて楽しめません。この紙包み焼きはそう言った問題を解決してくれるワインパーティーにぴったりの料理なのです。
紙を開くとタイムの爽やかで心地良い香りがしてきます。エキストラバージンとミニトマトの香りも渾然一体となって立ち上ります。トマトに火が通って柔らかくなっています。それをつぶしてスズキに絡めます。ピュアで素敵なソースになっています。このスズキの紙包み焼きにテースティングメンバーが選んだイチオシワインはロス ヴァスコス ソーヴィニヨン・ブランでした。グラスに注ぐとグレープフルーツを思わせる爽やかな香りが立ち上ります。少しグリーンアスパラガスを連想させる香りもあります。
「紙包みを開くとワインの香りが高まりますね」「華やかで複雑に感じますね」
フレッシュタイムが香りでマリアージュするのでしょうか・・・・・・
「ワインにもスズキにも奥行きがでますね」「特に味わいで淡白なスズキにコクが出ますね」「ミニトマトの酸味が、また絶妙ですね」
食材とワインとのマリアージュの楽しさをまた教えてくれたテースティングでした。