お笑いの小劇場はどこも満員の繁況と聞いたが、不景気風を笑い飛ばして明るい新年を迎えたいとは、誰もが考えることなのだろう。正月の江戸の町では太夫が才蔵を連れて門口に立ち、鼓を打ち万歳楽をうたい舞ったそうで、これが後の漫才に繋がる。三河万歳というくらいで主役の太夫はもちろん三河の出なのだが、舞いの最中戯れて座を大笑いさせる供の才蔵はたいてい江戸で調達されたらしく、そのための才蔵市なんてものがあったようだ。「ぽんとした面が才蔵市で売れ」容貌はなるべく間が抜けて、それでいて機転の利くものを選んだというから、なかなか抜け目ない人選である。さて笑う門には福来たる。わが家の福は山崎のグラスのまわりにあるようだ。
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