十九世紀の心理学者グスタフ・テオドール・フェヒナーは、夢の意義をいち早く正当に評価していた一人でもあったが、ひどい胃腸障害に悩まされていて、柔らかいものしか食べられなかった。その彼がある日夢を見たらしい。女友達が田舎風ハムを作ってくれた夢で、それが余りにも旨そうなので、ついつい誘惑に負けて食べてしまったというのだ。ところがそれからというもの食欲回復、胃腸は全快。以後四十四年も生き続け、「われわれの文明全体は胃の活動の産物以外のなにものでもない」というようなことまでいっているそうである。ゆめゆめ夢を馬鹿にするなかれ、ということだ。さて、今夜はとっておきの山崎をついつい飲んでしまう夢を見そうな気がする。
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