東京足立区炎天寺では毎年十一月一茶祭が開かれているのだそうだ。有名な「痩せ蛙」の句を詠んだのが近くの田圃だったという縁で、今年も蛙の仮装で取る蛙相撲や句会が行われた。その「痩せ蛙負けるな一茶是にあり」には「蛙たたかひ見にまかる」と前書があり、蛙たたかひとはひき蛙が群をなし求愛交尾する蛙合戦のことで雌一匹に雄は数匹、非力な蛙は仲間に入れてもらえない。そのはみ出しに送る声援、いかにも一茶で温かい。一茶という人は非常に多作で、寝ても覚めても句を作っていたという。一昨年新たに四十句が発見され、生涯にものした句は一万八千八百句以上というから俳句も体力気力。山崎の杯重ねつつ一杯一句ではとても追いつかぬか。
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