文楽とか、浄瑠璃といえばやはり大阪で、上方弁で「じょろり」。昔は義太夫の一段くらいいつでも唸れるような人があちこちにいたそうで、文楽を観に行くといわず聴きに行くといったものらしい。べべんべんべんとずらり並んだ太棹(ふとざお)の連弾響く中、義太夫の太夫は身振り大きく顔面紅潮、主役脇役すべて一人で語り分け、それにひきかえ人形遣いはいたって無表情で、人間よりひと回り小柄の人形を、足遣い、左遣い、主遣いの三人で操る。夫々十年十五年の修業主遣いでやっと一人前と聞いた。煙草喫ったり縫い物したりの所作細やかで生きてる人間よりいっそ人間らしく、さすが名人芸と感服し、さて夜が来るとグラス持つ手がべべんべんべんつい人形の仕種。
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