琉球の神様は、二通りの現われ方をする。海を渡ってやってくるか、天から降りて地に宿るか。台風や間伐の多い島の国、という自然条件の反映なのだろう。古代からの習俗も今なお多く残っている。沖縄の旧家を訪ねたとき、珍しいものを見た。門の内側にもう一枚、衝立のような目隠しの壁が立っている。これをヒンプンと呼ぶ。一説によれば、魔物は直進するので、まっすぐ家に入って来ないように遮るのだ、という。純粋なものが残る土地では、魔物の心までも純にしてしまうのだろうか。京都郊外、山崎。このピュアな地でピュアモルトウイスキーは生まれた。自然が時をかけてつくりあげた味と香り。この限りなくまっすぐな一杯を、今宵も味わうとしよう。
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