夜八時頃、南の空を降り仰ぐとプレアデス星団「すばる」が輝いている。あまりに天高く昇っているので、見上げると頭巾がふわりと落ちてしまう。それで昔の人はこの星々を「頭巾落とし」と呼んだ。すばるには他にもたくさんの呼び名があるが、七つ星、七福神など七つと見た名と、六連星(むつらぼし)、六地蔵など六つと見た名とがあって面白い。もとは七つあったものをお坊様が睨み落としたという言い伝えすらあるという。ギリシャ神話にも、七姉妹の一人が人間に恋をしたため輝きを失ったという話がある。昔の空で、何か想像を超えたドラマがあったのだろうか。遙かな宇宙を思い描きながら、グラスのピュアモルトを飲みほすと、日常の疲れもふわり、落ちていく。
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