江戸初期の儒者である林羅山は日本の三名湯に有馬、下呂、草津を挙げているが、誰にも私の「いい湯」がひとつはあって、日本人の四人に一人が一年に一回は温泉に入るそうである。ヨーロッパでは、温泉はお医者さんの領分だそうだから、驚かれても無理はない。ところで温泉の発見者で最も多いのは、実は動物たちなのだそうだ。鹿の湯、熊の湯、白鷺の湯、他にも鶴とか、猿とか。彼らが気持ちよさそうに湯に浸かり、傷を癒したりしているのを人間様が見つけて、骨休みの場として取り上げてしまったというわけでだ。大自然にどっぷり浸かり、そして温まった体にピュアモルトの香りと冷たい一杯の水を流し込む。疲れた体と心に、湯は何よりのご馳走である。
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