7月28日、東京厚生年金会館にて1,000組2,000名様をご招待して開催された「亡国のイージス」の試写会で、原作の福井晴敏氏とサントリーチーフブレンダー輿水精一によるミニトークショーが行われました。
ご来場のお客様にはウェルカムドリンクとして、日本ではじめてISCで金賞を受賞した世界でも評価の高いシングルモルトウイスキー「山崎12年」をはじめ、6種類のシングルモルトウイスキーをお楽しみいただき、シングルモルトそれぞれの個性の違いをご堪能いただきました。
シングルモルトの薫りがほのかに漂うなか、トークショーは福井晴敏氏のオリジナルブレンド「謎2005〜AEGIS〜」の“謎”に迫ります。
今夜は「SUNTORY PRESENTS SINGLE MULT PREMIUM NIGHT 亡国のイージス試写会」ということで、たくさんの方にお集まりいただきました。 今回、映画「亡国のイージス」にちなんで、「AEGIS」をテーマにしたウイスキーを実際に蒸溜所へ行って作られたそうですね。 そうなんです。逢坂剛さん、大沢在昌さん、北方謙三さん、東野圭吾さん、桐野夏生さんという錚々たるメンバーで蒸溜所へ行きウイスキーづくりに挑戦しました。 ぶっちゃけ、もしこれで選ばれたら映画の宣伝になるな…と身も蓋もないようなことを考えていたんですが(笑) 本当に選ばれてしまって、しかも、こんなにたくさんの方々に集まっていただいて試写会ができることは、「謎2005〜AEGIS〜」また、映画にとっても大変幸せなことです。いい風が吹いているように思います。 ■輿水精一(以下 輿水): 毎年、日本推理作家協会の先生方に当社の蒸溜所に来ていただいてウイスキーをブレンド※1していただくのですが、今年は山崎の蒸溜所にお越しいただきました。毎年そうなんですが、先生方は非常に熱心に本当に真剣にご自分のイメージのウイスキー作りをされていらっしゃいましたね。 私どもで、10種類の原酒を準備するのですが、狙いどおりの味わいを作るためには、個々の原酒の特徴をしっかりつかまなければなりません。また、それが混ざるとどんな味わいになるのかも予測しながらの作業となりますので、口に含んでは出しながらの作業とはいえ、実際は飲み込まなくてもアルコールは相当吸収されるんですね。 福井先生はお酒が強いのか、淡々とやっておられましたね(笑) お酒は強い方なんですが、さすがに最後にはふわふわいい気分になっていました(笑) 最後に我々にも投票権があって、もちろん自分が作ったものを選ぼうとするんですが、名前を伏せて誰が作ったものなのか一切わからない状態で審査するので、「これは自分が作ったものだ」というのを信じて投票したら他人のものだったということも起こったりするんですよね(笑) ■輿水: 私ども山崎蒸溜所の者も加わって投票するのですが、そこで最高の得点を獲られたのが福井先生の「AEGIS」でした。実は私も1票入れたんですよ。 本当ですか! ありがとうございます。 ■輿水: 福井先生は、私どもがご用意した10種類の原酒の中から最終的に4つを選ばれ。ベースは私どももこだわっている「シェリー樽」の原酒を1つ、それにピートの効いたスモーキーでちょっと薬臭いような原酒を使われていました。福井先生のブレンドは選択と配合割合の決め方が非常に大胆だけれども、主張がはっきりしていてメリハリが利いていると思いました。 ヴァッティング※2の途中、「香り」について悩んでいた時に、大沢在昌先生から「シェリーを強めに効かせると香りが出る」というアドバイスをいただいて、さっそく試してみたら見事選ばれてしまったんですよ。まさに大沢先生にしてみれば「敵に塩を送る」結果になってしまいましたね(笑) 実は、本来この価格で売るにはちょっと上等すぎる原酒を使ってるんですよね。 売れば売るほどサントリーが困るみたいな状態らしいんですけど…(笑) それだけに非常にお得で、しかも限定品ですからプレミア必至だと思います。 ■輿水: おっしゃる通りです! 「謎2005〜AEGIS〜」のブレンドに使用された原酒には、山崎蒸溜所秘蔵の原酒も入っており、素晴らしい内容のシングルモルトウイスキーになっています。 今回はラベルも凝ったものを作っていただきまして、この「AEGIS」の写真も防衛庁からお借りして、映画同様にウイスキーまで自衛隊が全面協力していただきました。 ■輿水: 現段階 でも十分に美味しいのですが、実はまだ未完成なんですね。 福井先生のレシピをもとに、山崎蒸溜所でこのウイスキーを作って、今それを樽に戻している最中で、味わいをしっくりなじませるために「後熟」という工程に入っています。発売になる10月にはもっと味わい深く、なめらかな状態になっていることでしょう。 このような経緯でできた「謎2005〜AEGIS〜」ですが、この時期に発表できたというのは本当に良かったと思います。映画と同じコンセプトをウイスキーにも持たせたいと思いましたので、基本的には「重厚」なんですが、「華やかさ」もあって、最後にとてもやさしい「ふわっ」としたとろに落ち着くというものなっています。それは映画も同じなので、ウイスキーと一緒に楽しんでいただければと思います。 今日は ありがとうございました。 ■輿水: ありがとうございました。
※1 ブレンド
「混ぜ合わせる」という意味の、ウイスキー製造の一工程のことで、ヴァッティング後、さらにグレーンウイスキーを合わせて、それぞれの個性を生かしながらまろやかな風味に仕上げること。 ※2 ヴァッティング 複数のモルト原酒同士を混ぜ合わせること。
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