静かで美しい入り江から
世界のスモーキーは生まれる。
アイラ島はスコットランドの西岸沖、インナーヘブリディーズ諸島の南端に位置する。淡路島よりやや大きく、そこに9つの蒸溜所とひとつの製麦工場がある世界でも珍しいウイスキー島だ。ウイスキーの聖地とまで表現されたりもする。
ラフロイグ蒸溜所は島の南部に位置する。「ラフロイグ」とは“広い入り江の美しい窪地”を言うゲール語だが、その風光明媚さはスコットランドの蒸溜所の中でも1、2を争う。
創業は1815年。19世紀後半からブレンデッドウイスキーに多大な貢献してきた。力強い酒質は伸びがよく、フレーバーの特色を生むために、あるいは隠し味として、スコッチのブレンダーたちにとって重要なモルトウイスキーでありつづけている。
さらには20世紀初頭のアメリカ禁酒法時代には薬用酒として輸出されていた。アメリカ当局が、薬品のような香りの「ラフロイグ」は薬用効果があると認めたからである。
こうした香味特性と歴史的エピソードが、長らく“好きになるか、嫌いになるか”のイメージを与えつづけたともいえよう。
シングルモルトウイスキー初の
英国王室御用達を戴く。
「ラフロイグ」は皇太子時代にチャールズ国王から品質の高さと香味の豊かさが認められ、1994年、シングルモルトウイスキーとして初の王室御用達許可証を下賜された。蒸溜所の建物の白い外壁にはダチョウの羽を3本あしらった別名“平和の楯”と呼ばれるプリンス・オブ・ウェールズの紋章が飾られている。
皇太子時代にはチャールズ国王自ら買い付けに蒸溜所へいらっしゃったこともあり、年によってはボトルで1,000本もオーダーされた。また新製品誕生時には必ずご試飲いただくことが慣例となっていた。