製品紹介 > 響 |
1989年、サントリーの創業90周年を記念し、技術の粋を結集した最高峰のブレンデッドウイスキーとして誕生した「響」。その名を飾るラベルには、日本が誇る最高峰の伝統工芸、約1500年の歴史を誇る越前和紙が使われています。洋紙を圧倒する美しさと保存性の高さを誇る越前和紙は、レンブラントやピカソなど、美術史の巨人たちにも愛用されていたことが分かっています。古くから伝わる伝統技法を活かし、一枚一枚手作業で漉き上げられている様子をご紹介します。
清らかな水に恵まれ、冬には深い雪に覆われる北陸の地。「響」の和紙ラベルを漉いている工房は、福井県越前市大滝町にあります。全国で唯一の紙の神様「川上御前」を祀る大瀧神社の鳥居をくぐり、和紙の里に入っていきます。この地域には、神によって紙漉きの技が伝えられたという伝説が残っており、自然の恵みからつくられる白い紙は、汚れないものとして神に通じるとされてきました。
和紙の原料は、楮(こうぞ)や雁皮(がんぴ)、三椏(みつまた)など木の皮の繊維。「響」の和紙ラベルには、中でも上品な艶をもつ三椏が使われています。そして、紙を漉くときに欠かせないトロロアオイという植物の根から採取したるネリ(粘液)。これらが和紙の耐久性の高さを支えています。
和紙づくりの主な工程をみてみましょう。
用途や役割に応じて6の工程を繰り返します。そうすることで、耐久性に優れた美しい和紙に仕上がります。
和紙づくりはすべての工程で水の力を借りることから“水の芸術”とも呼ばれることもあるのだとか。
繊維を運ぶ水の動きや、漉く人の息吹の一瞬を宿した表情が和紙の魅力です。
木の皮、根から採れる粘液、そして清らかな水。自然の素材に手を尽くし、瞬間的な水や繊維の動きをとらえて漉き上げていく和紙づくりは、サントリーが企業理念として掲げ、「響」誕生の根源となった“人と自然と響きあう”という言葉を体現するものでもありました。最高峰を語るに相応しいよう、試行錯誤を重ねた「響」のラベルは、道具や方法を変えて漉いた三層の和紙を重ねて漉きあげられています。
一層目は、簀桁を揺すって繊維を安定的に絡ませた「流し漉き」。二層目は、原料液を勢いよく流し込み偶然の揺らぎをつくるもの。三層目には、金属の型板に繊維を引っ掛けて表面に模様を乗せる「ひっかけ」という技法を採用しました。
奥行きを感じさせる風合いや、光の当たり方や見る角度によって多彩な表情が現れるのは、こうして三層の和紙を重ねて漉き上げているから。他の紙にはない、とても複雑な表現です。
「響17年」にはじまった越前和紙のラベルは、「響」の歩みとともにその世界や表現の可能性を広げてきました。「響21年」のラベルには、ほぐした繊維を黒の染料で染めて漉き上げたもの。「響30年」のラベルは、金茶色で染めた繊維を漉き、さらに金箔を挟み込みながら薄い繊維の層を重ねたものを使用しています。3タイプとも、伝統的な「ひっかけ」の技法を用いて、すべて手作業で仕上げています。
ひとつのものや空間の中に陰影があると、深みや落ち着きが生まれます。「響」を飾る和紙の中にも、表情豊かな光と影を感じていただけるのではないでしょうか。中味だけでなく装いにまで想いを尽くした「響」。ボトルを手にする際は、1500年の伝統美が光る越前和紙のラベルにぜひ触れてみてください。
「響」の和紙ラベルは、国際的に活躍を続ける和紙デザイナー・堀木エリ子氏プロデュースのもと、誕生しました。
次回のコラムでは、堀木氏が「響」の和紙ラベルに込めた想いや開発の裏話を語るインタビュー記事をお届けします。
響 MEMBERS CLUB は、サントリーウイスキー響をよりいっそう愉しんでいただくためのファンクラブです。会員限定のイベントやプレゼント、響の最新情報、つくり手インタビューなどを、メールマガジンでお届けします。皆さまのご入会をお待ち申し上げます。