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日本の風土や日本人の感性を色濃く映す「響」。その装いには、そこここに“日本のこころ”が隠れているのをご存じですか?悠然と輝くデキャンタボトル、筆文字が冴えるラベル、奥ゆかしくも存在感を放つ紫の帯。「響」の意匠ひとつひとつに息づく、日本人の感性や伝統ある芸術文化をご紹介します。
わたしたちの日々は、巡る四季とともにあります。古来、自然に寄り添いながら暮らしてきた日本人は、季節の移ろいをこまかく記した「二十四節気」や、植物や動物の営みにまなざしを向けた「七十二候」を暮らしの指標としてきました。
「響」のボトルを俯瞰してみると、ぐるりと一周24面。精緻なカットが施されています。これは、「二十四節気」や「二十四時間」といった“時”を意味するもの。樽の中で原酒が過ごした年月や、つくり手たちが受け継いできた歴史、「響」を介してつながる過去と未来。それらすべての“時”を象徴しています。
地球が太陽のまわりを一周する時間を一年とする「太陽暦」において、一年を二十四に等分することで季節の移り変わりを表したもの。月の満ち欠けから月日を定めた「太陰暦」と組み合わせた「太陽太陰暦(旧暦)」は、明治時代のはじめ頃まで広く親しまれていた、昔ながらの日本の暮らしの暦です。春分や夏至など、「二十四節気」が記す季節の移ろいは、現在もわたしたちの暮らしの中に深く根付いています。
「響」のラベルには、気品ただよう越前和紙が使われています。日本を代表する和紙の産地・越前は、約1500年の歴史をもつとされます。古くは公家や寺社に奉書紙を納め、江戸時代には透かしの技法を活かした日本初の藩札(領内だけで通用する紙幣)に使用されたことでも知られています。美しく耐久性に優れた越前和紙は、数多くの絵画や文芸作品のキャンパスとして日本の芸術や文化を支え続けてきました。
そうした越前和紙の歴史や、技を継承してきた職人たちの想いに触れ、伝統の尊さや美しさ、そして無限に広がる可能性を現代に伝えようと精力的に活動するのが、「響」の和紙ラベルをプロデュースした和紙デザイナーの堀木エリ子氏です。
福井県越前市の手漉き和紙産業の発展に尽力する京都府出身の和紙デザイナー。株式会社堀木エリ子&アソシエイツ代表取締役。建築空間に生きる和紙の造形や舞台美術などを数多く手掛け、国際的に活躍している。
和紙ラベルには、砂紋を想わせる艶やかな地模様が見られます。これは、和紙の原料である木の繊維を特殊な金型に引っ掛けてすくい、出来た文様を和紙表面に写し取る「ひっかけ」という技法で描かれたもの。繊維の凸凹が光をさまざまに反射して華やかな表情が生まれることから、こうした和紙を“光華紙(こうかし)”と呼ぶこともあるそうです。越前の独自技法「ひっかけ」は高度な技や手間を要するため、一般的な和紙に使われることは多くありません。“時”を象徴する「響」のボトルを飾るため、堀木氏のアイデアのもと、その伝統技が結集したのです。
そして、「響」のラベルに冴える筆文字。これは、墨象家・荻野丹雪氏によるものです。漢字の伝来にはじまった「書道」の伝統を紡ぐ書家でありながら、空間や紙面のデザイナーとしても活躍を続けています。
グラフィックデザインを主な仕事としながら、1970年頃から書の道に傾注。伝統的な書や墨をベースにした文字作品から、ロゴデザインや抽象画まで、幅広い分野で活躍し、グラフィック書道の立役者のひとりとして知られる。
墨を含んだ筆先を和紙に乗せることからはじまる「書道」。文字を意思伝達手段として使うだけでなく、書きあらわすことで造形や心情を表現する東洋の芸術文化です。墨色の持つ力強さ、線質の勢いや筆運びの面白さ、そして余白がもたらす美しさは、日本人の美意識に深く根ざしています。
「響」のボトルネックに巻いた帯に採用した色は、「深紫(こきむらさき)」と名付けられた、日本の伝統色のひとつです。1000種以上におよぶ日本の伝統色。そのひとつひとつを紐解くと、自然を見つめる日本人の繊細な感性や、美を求める探究心にこころ動かされます。
たとえば、鴇羽色(ときはいろ)。これは、黄色がかった薄い桃色で、トキの風切羽の色を再現したものです。特に若い女性の小袖の地色として、現代も好んで使われています。他には、裏葉柳(うらはやなぎ)。淡い黄みを含んだ薄い緑色、柳の葉の裏側の色をあらわしたものです。
こうした日本の伝統色は、着物の色柄や日本絵画の中で個性を発揮し、繊細な想いや自然の美しさを存分に表現してきました。なかでも高貴とされた「深紫(こきむらさき)」は、赤や青をはじめ、さまざまな色を繊細に重ねることで現れる複雑な色。数多くの原酒をブレンドする「響」と同じ、調和の妙を擁しています。
季節の巡りをこまやかに感じとり、自然の美しさを暮らしに
取り込もうとする精神は、日本芸術や文化の礎といえるでしょう。
「響」を愉しむひととき、先人たちが紡いできた日本のこころに、そっと触れてみてください。
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