自然の中で愉しむ

白州蒸溜所を訪れたら、ぜひ、この地に1泊することをおすすめします。白州の自然豊かな森を望む宿でくつろぎ、心と体を開放させる。都会の喧騒を忘れ、ゆったりとした時間の流れに身をまかせれば、明日への活力を身体に取り込むことができるはずです。今回は、そんな滞在にぴったりのホテルで、白州を愉しむ優雅なスタイルをご紹介します。

3000m級の山々を背景に広がるリゾート
今回ご紹介するのは、「ホテルキーフォレスト北杜」。キースヘリングの作品を集めた美術館やゴルフ場、乗馬クラブなどが集まったリゾート「小淵沢アートヴィレッジリゾートアンドスパ」の一角に、2015年9月にオープンしたばかりのホテルです。場所は中央道小淵沢ICから車を走らせることわずか3分。JR中央本線小淵沢駅からでもタクシーで5分ほどとアクセス至便。それなのに、その自然環境は息を呑むほどです。車寄せに車を停めて外に出れば、北に八ヶ岳、南に甲斐駒ケ岳がそびえ立ち、あたりは広葉樹の森が広がっています。深呼吸すれば、清々しい空気が胸いっぱいに満ちて気分爽快。東京からわずか2時間でアクセスできるとは思えないほど、豊かな自然に包まれています。
そこに立つ建物は、アート作品のようにモダン。コンクリートの外壁や、そこに切り取られた窓は、ひとつとして真四角のものはありません。国内外で多くの賞を受賞している建築家、北川原温氏が手がけた建物が、周囲の自然と調和しています。支配人の今井博美さんによれば、「ニューヨークにあるブティックホテルをイメージしてデザインされています。ゲストとスタッフの距離が近く、フランクな気分でリゾートライフを過ごしていただくには、堅苦しいデザインはふさわしくないと考えます」とのこと。なるほど、初めて訪れたのに、ロビーに入った途端、友人の別荘を訪れたような心地よさを感じました。



客室のテラスで森香るハイボールをゆっくり愉しむ
客室は全部で6部屋。小淵沢周辺は縄文文化発祥の地と考えられていることから、当時使われていたと言われる言語で「水」「土」「森」「太陽」「空」「山」を表す言葉が、各々の部屋のテーマになっており、それぞれ特有の滞在体験を愉しめます。例えば、2階の客室のひとつは「水」を表す「MITSU(ミツ)」がテーマ。壁材は桜材で、浴室は御影石(みかげいし)が使われており、温かみのある無垢の木材と、ひんやりとした天然石、それにモダンなインテリアを組み合わせた空間は、木の香りがほのかに漂い、とても癒やされます。客室によってカリンやブビンガ、オークなど、壁や床材だけでなく、家具も変えているというので、何度訪れても新鮮な気分になれそう。
すべての部屋にテラスが用意されているのも特徴です。デッキチェアに腰掛けると、目の前には大きなシイノキ。5月なら淡い色の新緑を透かした日差しが、柔らかくテラスを包んでくれます。そこで森香るハイボールをつくり、なにも考えずにボーッとグラスを傾ける。時折聞こえてくる鳥の声と葉ずれの音がBGM。そんな贅沢な時間を過ごすのにぴったりです。運が良ければ、木の枝に遊びに来たリスも見られるそうですよ。



森に包まれたバーが白州の味を増幅させる
さらに、こちらのホテルで特筆すべきなのが1階にあるバー「中村ウイスキーサルーン」です。壁に並ぶウイスキーのディスプレイは圧巻。フランス人のコレクターから譲り受けた220本のシングルモルトウイスキーがずらりと並んでいます。なかには、もう二度と手に入らないような貴重なものも少なくないそうです。もちろん、こちらで白州を愉しむことができ、「白州」「白州12年(休売中)」「白州18年」が揃っています。この日、オンザロックをつくってくれたホテルスタッフの方に、白州の魅力について伺ってみました。
「白州は大好きなお酒です。スモーキーな香りや爽やかな味わいは、小淵沢のような自然の中で飲むといっそう美味しく感じられます。お泊りになられるお客様も、ほとんどの方が白州をお飲みになりますよ」。
日がとっぷり暮れると、バーに面した広葉樹の森がライトアップされます。まずは店内のレザーソファに身を沈めて一杯。闇夜に浮かび揺れる木々を見ながら、心地よい酔いを愉しみます。続いて、バーのテラスに出てもう一杯。初夏の爽やかな夜気が風にのって頬をなでます。自然に包まれると、白州の持つ個性、スモーキーで軽やかな味わいが増幅されるような気がしました。

雄大な山々を眺めて白州を愉しむ贅沢な時間
屋上のテラスも、白州を愉しむためにあるような場所です。周囲に高い建物はないので、八ヶ岳と南アルプス、それに富士山まで見渡す大パノラマを、なににも邪魔されずに眺められます。特におすすめなのは、トワイライトタイムです。初夏ならば6時過ぎ。赤石山脈のスカイラインに太陽が沈んでいく時間帯は、とにかくロマンチックです。残照を浴びた八ヶ岳は紅く、遠くそびえる富士山は薄いピンク色に、甲斐駒ケ岳はオレンジに染まり、刻一刻と色を変えていきます。さながら太陽による贅沢なショー。そのショーを見ながら、白州を愉しめるなんて、なかなかできる体験ではありません。
森に佇む上質なホテルで白州をお愉しみください
都会のバーで飲むのももちろん良いのですが、やはり、シングルモルトウイスキー白州は自然との相性の良さを感じます。「ホテルキーフォレスト北杜」の客室やバーのテラス、屋上で、木々の木漏れ日や鳥のさえずりのなか愉しんだ白州は、よりいっそう美味しく感じられるのです。「ホテルキーフォレスト北杜」の敷地内には、貸し切りで利用できるスパも用意されています。森に囲まれた露天風呂でくつろいだ後、屋上テラスで満天の星を眺めながら白州を愉しむなんて過ごし方もできるそうですから、ぜひ足を運んでみてください。