食事と愉しむ自然の中で愉しむ蒸溜所で愉しむ

南アルプス甲斐駒ケ岳の麓、標高700mに位置する白州蒸溜所。「シングルモルトウイスキー白州」を育む緑深い森に、色彩溢れる季節がやってきました。例年の紅葉期間は10月中旬~11月初旬頃ですが、今年は早めに色付きが進んでいるとか。秋衣に華やぐ白州の森の見どころを、白州蒸溜所の佐野博さんに案内していただきました。



秋の蒸溜所見学の愉しみ方
蒸溜所を抱き、約82万㎡にわたって広がる白州の森。クヌギやケヤキ、イロハモミジなどが艶やかに色付き、目にも鮮やかな秋景色を生み出しています。軽やかに頬をなでる秋風や踏みしめる落ち葉の感触も心地よく、この森にいるだけで癒される気分に。「空気が澄んで爽やかな風が吹く秋は、一年で最も過ごしやすい季節です。駐車場でお客様をお迎えすると、バスから降りて開口一番、空気が美味しい!森林の眺めが目に爽やか!と喜びの声を上げられる方が多いですよ」と佐野さん。
確かに、秋の透き通った青空とカラフルな森の木々のコントラストは絶妙です。そんなベストシーズンを迎えた蒸溜所見学の愉しみ方とは?
「蒸溜所の建物が錦繍をまとう風景は今しか見られません。バードサンクチュアリを散歩したり、ゲストルームで白州を味わいながら秋色の森を眺めたりするのもいいですね。時間に余裕があれば、蒸溜所見学の前に、ここから車で30分ほどの場所にある尾白川渓谷でハイキングを愉しむのもおすすめです。渓谷美はもちろん、清流の透明度の高さに驚かされますよ」。
名水百選にも選ばれた尾白川。紅葉狩りをしながら名水の眺めを愉しみ、その後に蒸溜所で白州を堪能するとは、何とも贅沢な秋の行楽ですね!





白州の森で紅葉散歩
佐野さんのお話を伺いながら、野鳥の声がこだまするバードサンクチュアリを歩きます。生い茂る木々を見上げ、足元のどんぐりや松ぼっくりにほっこりと懐かしい気持ちを覚えながら森の奥へ…。緑の葉も紅葉も、陽を浴びると一様に色鮮やかにきらめいて陰影を濃くし、森の息吹を感じさせます。しばらく行くと視界が開け、東屋のある広場に到着。そこには赤や黄色の葉に彩られた1本のモミジの木がまばゆく佇んでおり、思わず目を奪われました。
「ここが私のお気に入りの場所です。綺麗でしょう」と、佐野さんが指さした方向を振り向けば、水鏡に周囲の木々を映す小さな池と、その向こうに優美な八ヶ岳の山並みが。クリスマス前後には冠雪を被り、さらに美しい姿が見られるそうです。
続いて案内していただいたのは、ウイスキー博物館にある展望台。長い階段を上りきった最上階で目に飛び込んでくるのは、八ヶ岳を見晴らす大展望です。その裾野から紅葉を散りばめた緑の絨毯が広がり、眼下の森へと続いています。反対を向けば、南アルプスの山並みと蒸溜所の敷地を彩る紅葉が目に鮮やか。ご褒美のような絶景に見惚れながら、白州蒸溜所の恵まれた環境を実感しました。
最後に、佐野さんにお聞きしたのは、蒸溜所見学の見どころについて。
「白州蒸溜所は、発酵の様子が実際に見られたり貯蔵庫の空気に直に触れられたりと、ウイスキーづくりを五感で感じていただける希少な蒸溜所です。場内の見学と合わせて、この森の豊かな自然と四季の美しさを五感で愉しんでいただきたいですね」。



ホワイトテラスで秋香る料理と白州を満喫
インタビュー後は、蒸溜所敷地内にあるレストラン「ホワイトテラス」へ。テラス席に座ると、白州の森の紅葉が間近に望め、豊かな気持ちになります。メニューリストに並ぶのは、秋メニュー。地元山梨の銘柄肉やきのこ、果物など地産の秋の恵みを取り入れた種類様々な料理に、目移りしてしまいそうです。迷った末に「甲州ワインビーフの葱味噌焼き御膳」と「ロースハム・ステーキ 焼き林檎とジャーマン・ポテトのプレート」をオーダー。もちろん「白州 森香るハイボール」と共に味わいます。
甲州ワインビーフは旨み濃厚で、ウイスキーと同じく発酵の工程を経てできた葱味噌が白州と相性ばっちりです。地元のソーセージ店「フランク」から仕入れているというロースハムはしっとりジューシーな味わい。白州が後口を爽やかに整えます。
白州を育てたこの森の清らかな空気を感じながら、森香るハイボールを味わう。ホワイトテラスでの食事はいつも至福の時間です。
※テラス席は11月中旬までのオープンとなります。
※「甲州ワインビーフの葱味噌焼き御膳」「ロースハム・ステーキ 焼き林檎とジャーマン・ポテトのプレート」は11月末までの秋メニューとなります。
インタビューを終えて
爽やかに澄んだ空気が迎えてくれた、秋の白州蒸溜所。今回、佐野さんに案内していただいたバードサンクチュアリでは、緑の中に赤、黄色と様々な色彩が混在するパッチワークのような紅葉景色が印象的でした。それだけ多種多様な木々が、生き生きと共存している自然豊かな森なのですね。これから白州を味わう時には、白州の爽やかな香味を育んだこの森の秋の彩りや風の香りも思い起こしながら、グラスを傾けたいと思います。