



舞台は、自家菜園の野菜が自慢のオーベルジュ
やってきたのは、白州蒸溜所から車で約30分の場所にある清里町。標高1150mの高原に位置する「オーベルジュ」のレストランで、お目当ての白州マリアージュディナーが提供されています。ホテル敷地内には自家菜園や乗馬体験ができる牧場などがあり、その牧歌的な風景を目の当たりにして、到着早々心が洗われるような気分に。涼やかに頬をなでる風には、清爽な緑の香りを濃厚に感じます。「自家菜園では、私の父母の代から無農薬栽培を行っています。飼育している馬のフンを堆肥に使用し、循環型のシステムを目指しているんです」と話してくださったのは、オーナーシェフの五味博さん。毎朝シェフ自らが畑を巡って、その日にレストランで使う野菜やハーブを収穫しているそうです。広々とした菜園で手間ひまかけて有機栽培されている野菜は、年間なんと80種以上。夏期は約30種の野菜やハーブが、新鮮なうちにレストランの卓上に登場します。
本来はディナータイム限定のメニューですが、今回は特別に昼間に用意していただきました。





白州のふるさとの食材が競演!
さて白州マリアージュディナーとは、一体どんな内容なのでしょう?料理をサーブしていただきながら、五味さんに伺いました。「白州と同様にこの土地の水と空気で育った野菜や川魚などは、白州との相性が抜群です。一般的にはウイスキーを飲みながら野菜を食べるイメージはないと思いますが、白州のハイボールは野菜とも合うんですよ。北杜市は高原野菜の宝庫ですから、新鮮な地物野菜と白州のマリアージュを存分に愉しんでいただきたい」(五味さん)。お話の通り、自家菜園の有機野菜やハーブをはじめ、北杜市名産の花豆、八ヶ岳の伏流水で育った紅鱒、近所の「中村農場」の地鶏、野生のシカ肉など、コースには地物食材がふんだんに盛り込まれています。これはまさに、北杜市の自然の恵みを堪能するディナーコース。白州を生み育てたこの地の豊かさを実感せずにいられません。



コースには、白州にこだわったストーリーが!
肝心の白州はというと、料理に合わせた飲み方で順に供されます。フレッシュな野菜がたっぷり盛られたサラダには「白州 森香るハイボール」、鱒やシカ肉のグリルの後にはハーブティーで割った「白州12年(休売中)」、花豆のクレームブリュレには蜂蜜のように濃厚な「白州18年」など。それぞれ絶妙な組み合わせで、食べ進めるほど新鮮な感動が胸に広がります。さらにメニュー構成にも五味さんの工夫が。白州の製造工程で生まれる香りや味わいと、料理の調理法を合わせているのだとか。例えば、ウイスキーづくりでははじめの麦芽乾燥時にピート(泥炭)を焚いて燻煙香を付けますが、それと合うように、前菜のサラダにはスモーキーな香りをまとった紅鱒の燻製があしらわれています。また、ウイスキーづくりで麦汁を発酵する際に生まれる味わいに対応させているのは、バーニャカウダのソース。なんと隠し味に発酵食品である自家製味噌を使用しているのです。他にも、ウイスキー樽の内側の焼き焦がしによる香りに対して、クレームブリュレの表面の焦げ目の香りを合わせるなど、マリアージュを昇華させる緻密な仕掛けがそこかしこに。
素材から調理法まで白州との相性を追求し、ストーリーが練り上げられたなんとも贅沢なコース!お話を聞きながら味わえば、白州も自然豊かなこの土地もより一層好きになってしまうことうけあいです。
白州マリアージュディナーは、予約をすれば「オーベルジュ」宿泊ゲスト以外でも愉しめます。レストランのみの利用でも十分満喫できましたが、宿泊ゲストならディナー後に、ホテルの庭でたき火を囲んで白州を味わう優雅な時間が待っているとか。せっかく蒸溜所を訪れたなら、泊まってじっくり、白州とこの地の食や自然の恵みを堪能してみてはいかがでしょうか。